玉森裕太は『祈りのカルテ』で“最も美しい人”だった 愛されドクターの演技を振り返る

『祈りのカルテ』玉森裕太の演技を振り返る

 あの、お馴染みの台詞をもう聞けなくなるのが寂しい。

 12月17日、玉森裕太主演のドラマ『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(日本テレビ系)がついに最終回を迎える。研修医の諏訪野良太が“カルテ”を通じて、ワケありの患者たちと向き合っていく本作。

 ハートウォーミングな医療ドラマとミステリーの組み合わせは新鮮だが、医者が病気そのものではなく、患者の心情や生活に深く寄り添う点において、映画化が話題となっている『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系)と相通ずるものがある。そしてまた、玉森演じる良太も、同作で吉岡秀隆が演じたコトー先生に匹敵する“愛されドクター”だった。

『祈りのカルテ』玉森裕太が医師として大きな成長 同期の研修医たちのドラマにも動きが

冴木(椎名桔平)に頼まれ、広瀬(原田泰造)のアパートを訪ねた良太(玉森裕太)。以前渡された1万円札を丁寧にポチ袋に収めて返しなが…

 玉森といえば、先日、美容雑誌『VOCE』(講談社)が選ぶ2022年の“最も美しい人”に決定。透明感あふれるルックスはもちろんのこと、内面の美しさが評価されたという。同誌の編集長・遠藤友子氏は、玉森の受賞理由について「私は玉森さんから否定的な言葉を聞いたことがありません。自分と違う考え方も受け入れ、他者を認められる柔軟さは今の時代にまさに私たちが求められているものです」とコメントしているが、その“他者受容力”は芝居にも大いに生かされているように思う。(※)

 まるで他人と足並みを揃える気のなさそうな同期たちに、漫画にでも出てきそうなひと癖もふた癖もある指導医たちや、予測不能な行動で頭を悩ませてくる患者たち……『祈りのカルテ』には、とにかくあくの強い登場人物が勢揃いしている。ここで有効に働いているのが、玉森の“受けの芝居”だ。周囲の人間の突飛な言動に怯んでみたり、驚いてみたり、あるいは華麗にスルーしてみたり。その人と良太がどういう関係で、今はどういう状況なのかを判断した上で最適解の反応を示す。玉森の丁寧な“受け”によって、良太が相対する人物のキャラクター性がより際立つし、そのワンクッションが入ることで私たちも個性的な登場人物たちをすんなり受け入れることができるのではないだろうか。

 誰と並んでも違和感なく馴染む玉森だが、やはり玉森裕太×年上女性の組み合わせは格別だなと感じた。『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)では菜々緒と姉弟役、『NICE FLIGHT!』(テレビ朝日系)では中村アンと恋人役を演じ、それぞれで息の合ったやりとりを見せてきた玉森。今作でも、松雪泰子、斉藤由貴、りょう、観月ありさといった豪華面々が演じる気高く美しい女医たちにタジタジの子犬系男子ぶりがハマっていた。表情が豊かでコミカルな動きもこなせる玉森の良さは振り回すよりも、振り回される役で最も発揮されるといえよう。

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