玉森裕太は『祈りのカルテ』で“最も美しい人”だった 愛されドクターの演技を振り返る
それでもなお、決して影の薄い存在にはならず、“主人公”でいられるのがすごいところ。基本的に本作は1話完結型だが、研修医たちの成長という一本軸がベースに引かれている。その中にはもちろん良太も含まれており、序盤と終盤では患者に対する接し方がまるで違う。最初の頃は患者とのコミュニケーションに不安があるのか、顔色を必死で伺うような節があり、顔も強張っていた。だが、例えば第9話で連続放火の疑いをかけられた患者の守屋(山崎紘菜)に「あなたはいい人です」と語りかける良太は堂々としていて、相手に安心感を与える口ぶりだ。どこから変わったかといえば、やっぱりきっかけは第5話における担当患者・愛原(成海璃子)の死だろう。
『祈りのカルテ』玉森裕太の医師人生における重要な出会い 原田泰造が見せた不審な動き
2年間ある初期研修の1年目が終わる、その最後の1カ月が描かれた11月5日放送の『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(日本テレ…
「もっと何かできたはず」という後悔を胸に、愛原の生きた証をカルテに記しながら涙を拭う姿には悲しみだけじゃなく、強い覚悟が見てとれた。こうした緩やかだけど、確かな変化を玉森が見せてくれるから、毎回私たちも新鮮さをもってドラマを楽しむことができる。「カルテが、すべて教えてくれました」というお馴染みのセリフですらバリエーションが豊かで、今日はどんな言い回しで聞けるのだろうとワクワクさせられた。
そんな本作の最終回では、良太が緩和ケア科で最後の研修を受ける。担当患者は自分を“良太先生”と慕う親しい間柄の広瀬(原田泰造)。良太はまだ知らないが、第7話で広瀬は良太の実父であることが明かされた。良太が母親から実父は病死したと伝えられていたのは、広瀬が過去に何らかの罪を犯したという話が関係しているのだろう。これまで医療の知識と探偵並みの推理力で患者の秘密と嘘を優しく見破ってきた良太は、広瀬の“真実”にたどり着くことができるのだろうか。
つい周りが世話を焼きたくなる可愛さもあり、患者と向き合うたびに成長し、今や頼もしさも兼ね備えた“愛されドクター”の良太。どうか最後は自分の心にも寄り添えますようにと願わずにはいられない。
参照
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■放送情報
土曜ドラマ『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:玉森裕太、池田エライザ、矢本悠馬、濱津隆之、堀未央奈、YU、松雪泰子、椎名桔平
原作:知念実希人『祈りのカルテ』シリーズ(角川文庫/KADOKAWA)
脚本:根本ノンジ
演出:狩山俊輔、池田千尋
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:藤森真実、戸倉亮爾(AX-ON)
音楽:サキタハヂメ
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/inorinokarte/
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