独走許すまじ? 国内作品による『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』包囲網

国内作品による『アバター:WoW』包囲網

 先週末の動員ランキングは、『THE FIRST SLAM DUNK』が2週連続1位に。土日2日間の動員は54万4000人、興収は8億2500万円。公開から9日間の累計動員は202万4129人、累計興収は30億3549万2950円。一方、2位の『すずめの戸締まり』の土日2日間の動員は43万2000人、興収は5億7500万円。公開から31日間の累計動員は636万6571人、累計興収は85億9250万9010円。もちろん公開2週目の『THE FIRST SLAM DUNK』と公開5週目の『すずめの戸締まり』の数字をフラットに比べても意味はないが、国内アニメーション映画という枠組だけに絞っても、公開から早い段階で話題が『THE FIRST SLAM DUNK』に分散してしまったことの『すずめの戸締まり』への影響は少なくないだろう。より直接的にいうと、興収1位返り咲きの道はほぼ閉ざされたと言っていいだろう。

 『すずめの戸締まり』の「独り勝ち状況」を阻むのは、なにも『THE FIRST SLAM DUNK』だけじゃない。同じ東宝の配給作品、先週末3位に初登場した『ラーゲリより愛を込めて』も、オープニング3日間の動員が27万2807人、興収が3億7382万9420円となかなかの好スタート。作品の評判も高く、伝統的に正月興行的に強いタイプの「泣ける実写日本映画」だけに今後の口コミによる広がりにも期待できる。

 そして、今週末は国内史上最多となる全国1466スクリーンで『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の公開が始まる。これまでの国内史上最多スクリーン数は『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)の1092スクリーンだったので、その圧倒的な公開規模がわかるだろう。もっとも、世界興行における『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』のノルマは歴代興収4位以内に入ることと言われている。そのレベルの歴史的ヒットにならないと、10億ドル(!)といわれる製作費が回収できず、というか今作だけでの回収は最初から無理で、製作中の3作目はともかく、4作目と5作目の製作が暗礁に乗り上げてしまうと言われているのだ。

 しかし、日本国内の興行状況だけを見ると、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』のその水準でのメガヒットはかなり難しいのではないか。『THE FIRST SLAM DUNK』『すずめの戸締まり』もまだ高い推移の興行が続いている上に、先週末公開の『ラーゲリより愛を込めて』、さらに『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』と同日公開の『Dr.コトー診療所』にもかなりの期待が集まっている。順番に東映配給アニメ作品(『THE FIRST SLAM DUNK』)、東宝配給アニメ作品(『すずめの戸締まり』)、東宝配給実写作品(『ラーゲリより愛を込めて』)、同じく東宝配給実写作品(『Dr.コトー診療所』)に囲まれた『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』。今回、久々に中国を含む世界同時公開が実現しているが、もし世界中で日本だけ初登場1位さえも逃すようなら、配給のディズニーに激震が走ることだろう。

■公開情報
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
全国公開中
監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバーほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©︎2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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