『餓鬼が笑う』に今泉力哉、内田英治らが絶賛コメント 田中俊介らの新場面写真も
12月24日より公開される田中俊介主演映画『餓鬼が笑う』に著名人が寄せた絶賛コメントと新場面写真が公開された。
本作は、骨董屋を目指し、四畳半のアパートに住みながら路上で古物を売って暮らす男の物語。実際に古美術商として真贋の世界に生きる大江戸康が企画・原案を手がけ、『the believers ビリーバーズ』の平波亘監督がメガホンを取った。
大(田中俊介)は骨董屋を目指し、四畳半のアパートに住みながら路上で古物を売って暮らす。先輩商人の国男(萩原聖人)に誘われ、山奥で開催されている骨董の競り市場に参加した帰り道、いつしかこの世の境目を抜け、大は黄泉の国に迷い込んでしまう。そして、人の膵臓を笑いながら喰らう異形の餓鬼や、絶世の美貌で黄泉と常世の関所を司る如意輪の女(川上なな実)などが現れる……。大はあの世とこの世を行きつ戻りつしながら、やがて自身の人生を生き直し始める。
本作について、内田英治監督は「ATG的でもあり、現代的でもあり、ヒップホップムービーだと思いました」、今泉力哉監督は「生死と時空を行き来する中で、人の想いも映画も自由であることを教えてくれる気がした」、前東京国際映画祭ディレクターの矢田部吉彦は「重層的な物語に禍々しい映像を備え、平波監督の並々ならぬ気合が全編にみなぎる力作だ」とその独特な構成について言及。
一方、繭山龍泉堂の川島公之は「入り込めば込むほど『真』に迷い『贋』に惑わされる骨董の世界。しかし、それは誰しも内底に持っているものである。その魔物と格闘しながら、『愛』という確かな答えに辿り着く主人公の生き様が艶美に描出されている」、東京・日本橋にある古美術商、井上オリエンタルアートの店主・井上雄吉は「パゾリーニ『アポロンの地獄』、あるいは羽仁進監督『初恋・地獄篇』を彷彿とさせる、生きている時代への不快感を見せようとした作品」と称賛した。
公開された新場面写真7点は、血まみれの大が警察官や通行人の追っ手から命からがら逃げるシーンをはじめ、大江戸曰く「フェラーリ10台分に相当する高額の壺」が登場する山奥の競り市場、川上演じる如意輪が大を翻弄するシーンやあの世で人を襲う餓鬼たち、この世でホームレスを襲撃する“夜行虫”の姿が収められている。
コメント
内田英治(映画監督)
夢と現実の狭間は何処に?
ウィルスや恐ろしい戦争など、夢のような出来事が現実におきてしまう時代だからこそ恐怖を感じた作品。
お世話になってきた俳優さんが多く出演しており、見ながらこれは自作なんじゃないかと、夢と現実の境目を見失った、笑。
ATG的でもあり、現代的でもあり、ヒップホップムービーだと思いました。
川島公之((株)繭山龍泉堂代表取締役 )
入り込めば込むほど「真」に迷い「贋」に惑わされる骨董の世界。しかし、それは誰しも内底に持っているものである。その魔物と格闘しながら、「愛」という確かな答えに辿り着く主人公の生き様が艶美に描出されている。
矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)
神と地獄を巻き込みながら、記憶という骨董品を巡って生への執着を描いてみせる。自分も深い闇に堕ちそうな時、餓鬼を喜ばせるわけにはいかないと踏みとどまることが出来そうな気がしてきた。重層的な物語に
禍々しい映像を備え、平波監督の並々ならぬ気合が全編にみなぎる力作だ。
天野千尋(映画監督)
「あの世」と「記憶」を巡る旅は、予測不能でロマンティックで、高尚なようでふざけてて、自分の現在地さえ分からなくなり、狐につままれた気分だが、思いがけず爽やかな感動に導かれる快作。帰ってくると、平波さんがいつものアルカイックスマイルで迎えてくれます。
切通理作(映画評論家)
現在に生きながら、誰かの思惑に操られたくはない。過去を愛しても、歴史を売り買いする計算高さには抵抗を覚える。人を受け止めようとする態度が、尖った刃となり反発を招いてしまう。そんな若者が、地獄の輪廻を繰り返すような「現世」を、楽しむまで
はいかずとも、フッと笑みを浮かべるぐらいはいいのではないかと思える瞬間を獲得するまでのラビリンス。きっとこの後も、ふとした時にたどり直したくなる映画だ。
今泉力哉(映画監督)
独特な世界観のすべてを理解できてはいないと思うけど、生死と時空を行き来する中で、人の想いも映画も自由であることを教えてくれる気がした。
ヴィヴィアン佐藤(ドラァグクイーン、美術家)
中川信夫『地獄』を彷彿させる三途の川での光景。もはや原因と結果の因果律は存在しないことは、主人公の骨董商に象徴される。不在の現前。そこから川を遡行するように複数の原因が何度も語られる。これは主人公・大の物語ではなく、我々すべての物語だ。
松沢京子(古美術店「去来」店主)
過去、現在、願望が錯綜する物語の中で「懐かしい匂いがする」とヒロインに惹かれていくのは何なのか。探しているものはあるのだろうか。ラストのシーンで女だけが「懐かしさ」はいらないと物語から退場していくように思われ、それがリアルに感じ面白かった。
下社敦郎(映画監督・映画音楽家)
「深淵を見た!」と言うと些かチープだが、現実が虚構化、カルト化する時代において、この映画が生まれたのは決して偶然じゃない。ポイントは主人公が何者にもなれていない若者という点で、倒錯した青春映画の趣もあるということ。イースタン・ユースの曲に例えるなら「世界は割れ響く耳鳴りのようだ」!
井上雄吉(古美術商 井上オリエンタルアート店主)
パゾリーニ『アポロンの地獄』、あるいは羽仁進監督『初恋・地獄篇』を彷彿とさせる、生きている時代への不快感を見せようとした作品だと感じた。
「骨董と青年」。「過去から現代」。これは未来へと受け繋がれるべき人間の共通項を表象しながら、現代というあまりにも行き過ぎた社会状況を見直す、その視点を提供しているのであろう。パゾリーニと現代、その轢断を視ているようだった。
松崎まこと(映画活動家/放送作家)
『餓鬼が笑う』は、タイトルからは想像もつかない、“希望”の映画である。
田中俊介演じる主人公がめぐる地獄は、平波亘監督流の“マルチバース”。
そして、地獄を経たからこそ新たに生き直せるのだと、高らかに謳い上げるのだ!
戸田彬弘(映画監督)
卓越した演出力と、インディペンデントを支える個性たっぷりな俳優陣の輪舞曲。
もう、オールスター天丼だ!
お腹ペコペコで行かなきゃ胃もたれするぞ!
■公開情報
『餓鬼が笑う』
12月24日(土)より、新宿K’s cinemaほか全国順次公開
出演:田中俊介、山谷花純、片岡礼子、柳英里紗、川瀬陽太、川上なな実、田中泯、萩原聖人
監督・脚本・編集:平波亘
企画・原案・共同脚本:大江戸康
主題歌:eastern youth「今日も続いてゆく」
プロデューサー:鈴木徳至
製作:大江戸美術、コギトワークス
配給:ブライトホース・フィルム、コギトワークス
制作:コギトワークス
2021年/105分/ビスタ/カラー/5.1ch
©️OOEDO FILMS
公式サイト: https://gaki-movie.com