『舞いあがれ!』はシスターフッドにも注目? 脚本家&演出変更による変化も考える

『舞いあがれ!』脚本家&演出変更による変化

 さて、チームに振り分けられる班の中で、さまざまな課題を与えられることになった舞。もちろん矢野もメンバーの一人であり、初日から第一印象が最悪だった柏木を差し置いても、残りの男子メンバーの中で一際強烈だったのが水島祐樹(佐野弘樹)である。大阪から来た舞に対して「大阪? 面白いこと言ってよ」と、かなり失礼なことを言う水島。彼の発言は相手の出身に対する偏見そのものであり、言われた方は不愉快だし、舞のように困惑する。

 そんな水島と、中澤真一(濱正悟)、吉田大誠(醍醐虎汰朗)を含めたみんなで、これから舞は頑張っていかなければいけない。しかも成績において、どうやら舞の面接を担当し、授業でも担当となる都築教官(阿南健治)による“都築ポイント”が重要になってくるみたいだ。彼は食事中も常にポイントノートを持ち歩いており、そこには相当個人の情報が赤裸々に書かれていそうなこと、日頃からの行いなど人道的な面も評価対象になりそうなことが示唆されている。柏木は相変わらず柏木であるが、何と授業で困っていた舞を助けてくれた。彼が舞だけではなく他のチームのメンバーと打ち解けてくれるか、はたまた問題を起こしてしまうのかが気になるところ。

 このチームの顔合わせシーンでは、第36話でも多用されていた画面分割の演出が行われ、“都築ポイント”について話すシーンの劇伴も含め新章はスピード感とコミカル感が増している。脚本家がリレー方式で変わっていく本作は、先週までチーフ脚本の桑原亮子が手がけており、彼女の細かい心情描写が遺憾なく発揮されていた。今週からは脚本が嶋田うれ葉に、演出が田中正から野田雄介にバトンタッチされているが、その理由が何となく見えてくる。今回の授業シーンでもそうだが、専門知識をはじめとにかく多くのものがドラマに詰め込まれるようになってしまったのだ。これまではそういった説明的なものもあまりなく、純粋なヒューマンドラマとして描けてきたからこそ、じっくりと丁寧な間の使い方もできていた。しかし今回の変更は、そういった専門的なシーンが単調にならないため、メリハリをつけるためという意図があったのかもしれない。それぞれの制作メンバーの適性を考え、実験的な動きになっている。今は静かにこのドラマの行く末を見守っていきたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

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