『カムカム』ファンなら見逃せない! 濱田岳主演『探偵ロマンス』は心躍る名作になる予感

濱田岳主演『探偵ロマンス』は心躍る名作に

 日本推理小説の巨匠・江戸川乱歩が2023年に作家デビューから100周年を迎える。それを記念し、同年1月21日から乱歩の知られざる誕生秘話を描いたドラマ『探偵ロマンス』がNHK総合にて放送されることが決定した。

 のちに乱歩となる主人公の平井太郎を演じるのは、俳優の濱田岳。濱田といえば、2021年後期のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(以下、『カムカム』)での橘算太役が記憶に新しい。さらに本作では演出の安達もじり、制作統括の櫻井賢と『カムカム』の制作チームが集結しており、朝ドラファンにとってはそれだけで垂涎ものである。

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 乱歩が作家デビューを果たしたのは1923年。『カムカム』でいえば、算太の妹で初代ヒロインの安子(上白石萌音)が生まれる2年前の出来事である。のちに算太はダンサーを志して実家を離れ、安子は初恋の相手と結婚。それぞれの幸せを追い求めるが、第二次世界大戦が勃発し、大切な家族も夢も奪われる二人の姿が描かれた。

 まさに算太と安子は時代に翻弄された兄妹だったが、『探偵ロマンス』の主人公である太郎の若者時代もまた壮絶だ。舞台となる20世紀初頭の日本は第一次世界大戦中の好景気が終焉を迎えたのち、恐慌の時代に突入。街は失業者で溢れ、強盗などの重大犯罪も頻発していたという。

 そんな中、コナン・ドイルなど海外の推理小説家に憧れる文学青年の太郎は原稿を新聞社に持ち込むも全く相手にされず、賃金の安い仕事を転々とする貧乏生活を送っていた。その一つが、探偵事務所での仕事だ。本作では、若き日の乱歩が日本最古の探偵事務所として知られる「岩井三郎探偵事務所」の門戸を叩いたという忠実に基づき、草刈正雄演じる初老の名探偵・白井三郎とバディを組んだ太郎がさまざまな難事件に巻き込まれていく姿が描かれるという。

 「ロマンスあり、笑いあり、涙あり、魂の叫びあり、アクションありのテンコ盛り」と謳われているように、乱歩の誕生秘話を単なる時代劇ではなく、フィクションと忠実を織り交ぜた心躍るエンターテインメントとして立ち上がらせるーーそれは『カムカム』の制作チームが最も得意とするところであろう。

 『カムカム』では100年の物語をラジオ英語講座とともに歩んだ3世代のヒロインで紡いでいくという朝ドラ初の挑戦的な試みがなされた。安子、るい(深津絵里)、ひなた(川栄李奈)の3人のヒロインにモデルはいない。あくまでもフィクションの物語ではあったが、その裏ではいつもラジオやテレビ、登場人物たちの会話を通し、当時の流行が自然な形で映し出されていた。そこから安子たちの生活や息遣いがリアルに感じられ、まるで実在する家族の物語を追っているかのような感覚にさせられたが、一方で重要な場面では劇的効果を高める演出も忘れない。

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