『ONE PIECE FILM RED』ついに北米公開 No.2で初登場も『ドラゴンボール』より控えめ?
日本の映画館を賑わせつづける『ONE PIECE FILM RED』が、8月6日の日本公開から3カ月、いよいよ北米に上陸した。11月4日~6日の北米週末興行収入ランキングでは第2位に初登場、3日間で947万ドルを稼ぎ出している。
『ONE PIECE』といえば、日本国内では他の追随を許さないほどのビッグタイトルだ。もちろん『鬼滅の刃』『呪術廻戦』なども近年は人気だが、本作ほど長期にわたりあらゆる層から熱狂的支持を受けているシリーズは、ほかに『名探偵コナン』くらいと言ってもいいかもしれない。
もっとも興味深いのは、海を渡れば必ずしも日本国内と同じ反応が返ってくるわけではないところだ。本作の初動成績である947万ドルは、配給のクランチロールにとってはかなり控えめな滑り出し。なぜなら8月に公開された『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』(2022年)は2112万ドル、3月公開の『劇場版 呪術廻戦 0』(2021年)は1800万ドル、2021年4月公開『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020年)は2123万ドルというスタートだったからだ。
以前にも記したように、北米市場において、日本のアニメーション作品は初動が最も重要とみられている。スーパーヒーロー映画と同じく、大多数のファンが公開直後に映画館を訪れるため、2週目の下落率は大きめ、その後の降下も速い傾向にあるからだ。クランチロールは『ONE PIECE FILM RED』の北米最終興収を約2000万ドルと見ているが、これは『ドラゴンボール超』や『劇場版「鬼滅の刃」』の初動成績と同等である。
ただし本作もファンの支持は大きく、出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」評価を獲得。別の出口調査では88%がポジティブな回答を示した。観客層は男性が76%、女性が24%。18~34歳が全体の75%を占めた。
『ONE PIECE』はNetflixオリジナルのドラマシリーズも待機中とあって、北米市場でも今後より注目度が高まることになるだろう。もっとも原作やアニメシリーズが長期化しているだけに、『鬼滅の刃』『呪術廻戦』ほど新たな観客の参加を見込みにくいのも事実。ここから継続的に存在感を高めていくことができるか。
そのほか、今週は『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の公開を11月11日に控えて、いわば「嵐の前の静けさ」といった様子。第1位はドウェイン・ジョンソン主演『ブラックアダム』が射止め、3週連続で王座を譲らなかった。北米興収は1億3736万ドル、海外興収は1億8230万ドル。世界興収は3億ドルを突破し、うまくいけば4億ドル超えもありうる状況だ。もっとも製作費1億9500万ドルの大作だけに、ビジネス的にはまだまだ踏ん張りどころ。『ブラックパンサー』の嵐にどこまで耐えられるかも問題だ。
ランキングのトップ10では、穏やかながらも堅実な成績をキープしている『チケット・トゥ・パラダイス』が第3位。公開館を374館追加し、3日間で851万ドル(前週比-13.6%)を記録した。第4位『Smile(原題)』は北米興収1億ドル超えを間近に控えつつ、世界興収2億ドルを突破。この秋を代表する一作だけに、早期の日本公開実現に引き続き期待したい。