「動員ランキングのトップ10がすべて日本映画」はもはやニュースでさえない?

トップ10日本映画のみの時代が当たり前に?

国内映画興行ランキング

 先週末の動員ランキングは、『ONE PIECE FILM RED』が限定20万個の入場者第7弾プレゼント「ワンピの実『FILM RED』“シャンクス”」のブーストもあって1位に返り咲いた。土日2日間の動員は22万4000人、興収は3億400万円。これで8月第1週から13週のうち12週1位の座を独占したことになる。

 意外な健闘をみせているのが、3週連続2位をキープしているワーナー配給の『カラダ探し』だ。土日2日間の動員は9万6100人、興収は1億1200万円と先週末の数字はそこまで高いものではないが、公開から17日間の動員は57万1745人、興収は6億9586万6870円。最終的には10億円の大台を狙えるか? 北米同様、日本でもハロウィンシーズンに国内のホラー映画の公開が増えてきているが、『カラダ探し』の2週前に公開された松竹配給の『“それ”がいる森』や、先週末公開されて5位に初登場したKADOKAWA配給の『貞子DX』とはかなりの差がついた。

 ホラー映画は初動こそキャスティングに左右されるものの、その後の伸びは口コミやソーシャルメディアの影響が大きい。ティーンムービー風のタイムリープホラーという『カラダ探し』の作風が、若い観客層から支持されたわけだ。ホラー映画好きとしては、北米でハロウィンシーズンに公開されて、今年最大のサプライズヒットとなっている『Smile(原題)』(米パラマウント配給)の日本公開決定の発表を待ち望んでいるのだが……。

 ところで、お気づきの方も多いだろう。先週末のトップ10から遂に外国映画が1本もなくなった。本コラムでは2年前から繰り返し(※)このような事態になることを予想してきた。しかし、コロナ禍による公開延期とも関係なく、新作の配信プラットフォームへの売却とも関係なく、これがまったくの「平時」の出来事というのが、現在の国内における外国映画興行が抱える問題の深刻さを浮き彫りにしている。今後、いよいよトップ10に外国映画が入らないのが当たり前の時代へと突入していきそうな気配さえある。

 数年前までハリウッド映画の興収が北米全体の数字を上回ることが頻繁にあった中国のマーケットは、米中対立の激化を受けてハリウッド映画を締め出し、今ではすっかり興収ランキングのトップ10すべてが自国映画となっている。一方、日本はコロナ禍や配信シフトと直接は関係ないどころか、アメリカとの経済摩擦も政治的対立もないまま中国と同じようなマーケットの状況になったわけだ。

参考

https://realsound.jp/movie/2020/11/post-649409.html
https://realsound.jp/movie/2020/11/post-657624.html

■公開情報
『カラダ探し』
全国公開中
出演:橋本環奈、眞栄田郷敦、山本舞香、神尾楓珠、醍醐虎汰朗、横田真悠
監督:羽住英一郎
脚本:土城温美
原作:ウェルザード『カラダ探し』(エブリスタ)
音楽:菅野祐悟
主題歌:Ado「行方知れず」作詞 作編曲:椎名林檎(ユニバーサル ミュージック)
挿入歌:Ado「リベリオン」作詞 作編曲 Chinozo(ユニバーサル ミュージック)
制作プロダクション:ロボット
配給:ワーナー・ブラザース映画
©︎2022「カラダ探し」製作委員会
公式サイト:karadasagashi.jp
公式Twitter:@karadasagashi_m
公式Instagram:@karadasagashi_movie

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