『PICU』熱量で周りを動かした吉沢亮の成長 徐々に明かされる高杉真宙の過酷な労働環境

『PICU』周りを動かした吉沢亮の成長

 植野に「安心して術後管理できるだけのスタッフを集められないかやってみたい」と申し出て、病院内はもちろん医大の同級生名簿まで取り出して必死に人手確保のためにできる限りを尽くす志子田の姿には目を見張るものがあった。人に何度も何度も頭を下げる彼の熱量が周囲に伝播し巻き込み、そして動かしていく。「うちの子に近づかないで」と母親に言われながらも理玖(中村羽叶)が大好きな戦闘アニメを病室でも楽しめるようにとDVDに録画したり、DVDプレイヤー自体を持ち込んだり、一見したところ“医者の仕事ではない余計なこと“と片付けられてしまいかねないことでも、とにかくあの手この手を尽くして取り組む志子田の姿と重なる。志子田本人としては“今はこんなことしかできない”という思いもあるのかもしれないが、その積み重ねがいつしか“自分にしかできないこと”になっていくのだろう。志子田の理想論を並べるより先に諦めないで働きかけてみる姿勢が、淳之介に「肺の温存」という新たな道を開けさせたように。リスクを考えれば本来選べなかった未来を淳之介が歩めるようになり、彼の未来を大きく変えた。さらには淳之介だけではなく、この前例によりPICUや未来の同じ症状の子どもの可能性まで広げたのだ。

 一方で、網走総合病院で奮闘する悠太(高杉真宙)のあまりに過酷な労働環境が徐々に明かされつつある。新人の悠太しかオペに入れる状況にない中でも急患が送り込まれてきて、頼れる人も相談できる相手もいない正に孤軍奮闘状態。PICUの医師らにまず自身の力不足を詫びていた悠太の様子を見るに、彼には適切なフィードバックや指導を仰げる存在さえいなさそうだ。何やら彼の様子を“監視“するような先輩医師の姿や履歴を埋め尽くすほどの着信履歴からも、ただでさえ張り詰めた緊張感の漂う救命医という立場や仕事以上に、彼を追い詰める心休まらない理不尽な環境がそこにはあるようだ。こんなことが続けば無力感に苛まれ、限界を迎えるのももう時間の問題だろう。

 また、訴訟問題を抱えているという救命医の綿貫(木村文乃)は「医者が医者を訴えている」と口にしていたが、次週彼女ののっぴきならない事情も明かされていきそうだ。

■放送情報
『PICU 小児集中治療室』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:吉沢亮、木村文乃、安田顕、生田絵梨花、高杉真宙、菅野莉央、甲本雅裕、中尾明慶、高梨臨、菊地凛子、正名僕蔵、松尾諭、大竹しのぶほか
脚本:倉光泰子
演出:平野眞
プロデュース:金城綾香
医療監修:浮山越史(杏林大学病院)、渡邉佳子(杏林大学病院)
主題歌:中島みゆき「俱に」(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
音楽:眞鍋昭大
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/PICU/
公式Twitter:@PICU_cx
公式Instagram:@picu_cx

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