『silent』優しさと脆さを併せ持つ鈴鹿央士 アンビバレントな関係に心動かされる

『silent』優しさと脆さを持つ鈴鹿央士

 紬の家のキッチンから、そして高校の頃、橋の手前から、湊斗は想の名前を呼び続ける。そして湊斗が応えてほしいと呼び続けた「想」の名前は、想が紬に呼んでほしかった名前でもある。実は紬は、想のことをほとんど名前で呼んだことがない。想が、耳が聞こえなくなり始めたことを打ち明けようとした日に、名前を言ってほしいと頼んだあの時だけなのだ。だからこそ紬が湊斗のことを「湊斗」と名前で呼んでいることに想は気付いたのだろう。強い絆で結ばれながらも、アンビバレントな関係性から抜け出せない3人を象徴するかのようなエピソードは、切なさともどかしさを加速させる。

 人は、過去があるから今をより大切に想う。湊斗が紬にしてきた優しさが、積み重ねられてきたものだと知った時。湊斗が呼んだ想の名前に、2人が笑顔で過ごせていた日の思い出があること。そして想と紬を繋いだスピッツの曲。『silent』はこうした過去を、“現在のおまけ”ではなく大切になぞるように描く。だからこそ私たちは3人の“今”に深く心を動かされるのだ。

■放送情報
木曜劇場『silent』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:川口春奈、目黒蓮(Snow Man)、鈴鹿央士、桜田ひより、板垣李光人、夏帆、風間俊介、篠原涼子ほか
脚本:生方美久
演出:風間太樹
プロデュース:村瀬健
音楽:得田真裕
制作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/silent/
公式Twitter:https://twitter.com/silent_fujitv
公式Instagram:https://www.instagram.com/silent_fujitv/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる