『silent』登場人物たちの底知れぬ優しさと愛 目黒蓮演じる想の実直さと優しさ

『silent』目黒蓮が描く実直さと優しさ

 人々の優しさが心に染みる『silent』(フジテレビ系)の第2話。誰もが相手の想いに胸を痛め、相手を想うがゆえに真実を隠し、言葉にならない想いが交錯する時間を過ごしていた。そして再会を果たした紬(川口春奈)と想(目黒蓮)は、空白の期間の真実を知ることになる。

 紬が落としてしまったイヤホンの片側が転がった、その先にいたのは想だった。想は、そのとき拾ったイヤホンを返すために、湊斗に紬の連絡先を聞いて会う約束をする。こうして会うことになった想と紬は、音声を文字にしてくれるソフトを通して会話をする。その夜、湊斗(鈴鹿央士)は紬に、想の耳が聞こえないことを知っていたと打ち明け、手話教室のチラシを手渡すのであった。手話教室に通い、手話を勉強した紬は、再び想を誘いカフェに行く。そこで紬は、覚えた手話を使ってわずかではあるが想と会話をできるようになった。

 想がなぜ耳が聞こえなくなったのか、どのように病が進行していったのかが明らかになる。そして想が、病を抱えながらもどうやって紬と向き合えば良いのか模索する姿も描かれた。そこには想が紬を思うゆえの決断があった。「好きな人がいる、別れよう」というメッセージの真相をたずねた紬に対して想は、「好きな人がいる」と筆談し、紬を指さす。あのメッセージは想が紬にショックを与えないための優しさだったのだ。そして同時に、自分から紬を断ち切らなければいけないという苦しさでもあった。目黒は、そんな優しくて強い想を表情で訴えかける。大粒の涙を流しながらも、大きく笑って見せた想の姿には、目黒自身の持つ実直さと優しさが重なって見えるようであった。心がキュッと痛むほど真っ直ぐな恋心。そしてそれが儚く散っていったあとの2人が、こうして再び向き合えたことには、安堵と共に、もどかしい思いもある。今の紬には湊斗がいるのだ。

 本作に出てくる人々はどうしてこうも優しいのだろうか。紬が抱えきれない想いを吐露すれば、友人の真子(藤間爽子)はそっと寄り添う。多くを語ったり、自分の意見を押し付けたりするわけでなく、ただ側で紬のことを支えているのだ。湊斗にも自分の気持ちを吐き出せる友人がいる。そして紬と湊斗自身もまた底知れぬ優しさと愛を知っている人たちなのだ。相手の立場に心を痛め、誰かが苦しめばそっと支え、励ます。そうして自分の気持ちよりも相手の気持ちを大切にして寄り添える人たちだからこそ、これから待ち受ける複雑な恋のゆくえを想像するだけで胸が痛む。できることなら誰にも傷ついてほしくない。全員がしあわせに満ち足りた時間を過ごしてほしいと祈ってしまうのだ。「想が聞こえなくなってしまった」ことが広まりつつあることに少々の危惧はあるものの、全ての人々のしあわせを願いながら見守っていきたい。

 第2話は紬と想が一緒にいるところに湊斗が出くわしてしまうシーンで終わる。次週、3人の関係に動きがあるのかも気になるところだ。

■放送情報
木曜劇場『silent』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:川口春奈、目黒蓮(Snow Man)、鈴鹿央士、桜田ひより、板垣李光人、夏帆、風間俊介、篠原涼子ほか
脚本:生方美久
演出:風間太樹
プロデュース:村瀬健
音楽:得田真裕
制作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/silent/
公式Twitter:https://twitter.com/silent_fujitv
公式Instagram:https://www.instagram.com/silent_fujitv/

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