『ファーストペンギン!』思惑通りになった奈緒の戦略 物語における“女性”の役割とは

『ファーストペンギン!』奈緒の戦略とは

 10月5日よりスタートした奈緒が主演を務める水曜ドラマ『ファーストペンギン!』(日本テレビ系)が好評だ。その要素はコロコロと移り変わる奈緒の表情の変化や実話を元にした森下佳子によるオリジナル脚本の面白さが思いつくが、そのひとつにはドラマのキャッチコピーにも掲げられている、観ていて「爽快」なのがポイントにあるのではないだろうか。

 第1話ではそれが、和佳(奈緒)が漁協の組合長である杉浦(梅沢富美男)や漁師の片岡(堤真一)に怒鳴り散らすラストのシーンだったが、10月12日放送の第2話では和佳が推し進める「お魚ボックス」を“女性”であることを武器にして、農林水産大臣にまで正式に認めさせてしまうのだ。

 女性活躍を謳った内閣の「もっと『女性が輝く社会』に。」というポスターを見て和佳は、極端な男性社会の水産業の中で女性である自分が認定事業の第1号者であることは女性活躍を推進した農林水産省の功績になるーーそう踏んだ和佳の思惑通り、農林水産大臣が大々的に国会で「全面的にバックアップして行きたい」と宣言することで、その下の立場にある市や漁業組合は「お魚ボックス」を認めざるを得ない状況となった。

 当初は片岡から頼まれた死んだ浜の復活だったが、いつの間にか漁師からも、漁協からも迷惑者扱いされるようになり、なんのために孤軍奮闘しているのか分からなくなってしまう和佳。そんな時に救いの手を差し伸べてくれたのはいつも女性だった。混獲魚を含めた魚を譲ってくれた仲買人の重森(ファーストサマーウイカ)、一人息子の進(石塚陸翔)を率先して預かってくれたママ友の山藤(志田未来)、陰ながら和佳を後押ししてくれる農林水産省職員の溝口(松本若菜)、あとは統括さん(伊沢弘)を足止めするのに協力してくれたスナック・スターフィッシュの店員ユリア(青山めぐ)。和佳を気にかける漁師の永沢(鈴木伸之)や「先生」と呼ばれているミステリアスな存在の琴平(渡辺大知)といった存在もいるにはいるが、和佳を中心としたシスターフッドを感じずにはいられない。

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