『ファーストペンギン!』奈緒の“喜怒哀楽”の表情全部盛り 荒波へ漕ぎ出す起死回生の物語

『ファーストペンギン!』奈緒の演技の魅力

 奈緒が主演を務める水曜ドラマ『ファーストペンギン!』(日本テレビ系)が、10月5日よりスタートした。「ファーストペンギン」とは、多くの敵が潜む海に群れの先頭を切って飛び込んでいく勇気ある一羽目のペンギンのことを指す。本作は、縁もゆかりもない漁業の世界に飛び込んだシングルマザー・和佳(奈緒)が、漁師・片岡(堤真一)らとともに死んだ浜を再生させる、実話を元にしたサクセスストーリー。大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK総合)、『義母と娘のブルース』(TBS系)などを手がけた森下佳子によるオリジナル脚本だ。

 ドラマが掲げるキャッチコピーは「ウソみたいに爽快な、ホントのお話。」である。この“爽快“の部分が担う要素は、きっと素人ながらの発想で固定概念をぶち壊していくのだろうとオンエア前になんとなくイメージしていた。結果的にはそれも間違いではない。和佳は漁協や仲買をすっ飛ばして、漁師が直接、消費者に魚を販売する「お魚ボックス」のアイデアを思いつき、実現に向けて動き出す。漁協の“一番偉い人“である統括を持ち前の愛嬌で口説き落とし、事業申請書に押印。そこから市(市役所)、県(県庁)、国(農林水産省)と「お魚ボックス」は実現に向けてとんとん拍子に進んでいくが、漁協の組合長・杉浦(梅沢富美男)は黙っていなかった。

 漁師と漁協は持ちつ持たれつの関係性で何十年もやってきているーーと片岡は話すが、実際は長いものに巻かれているだけ。国にまでハンコをもらってきた和佳に、片岡は「福の神」だと亡くなった妻・みやこを重ね喜ぶが、杉浦が怒鳴り込んでくると、たちまち萎縮してしまう。そして、「お魚ボックス」に賛同していた先ほどとは打って変わって、漁協側の肩を持つようになるのだ。

 驚くのはここからだ。和佳は2分弱に渡って片岡や杉浦らに怒鳴り散らしていく。かなりの長セリフのため一部分を抜粋するが、片岡を「クソひょっとこ」、杉浦を「イカれドタコ」呼ばわりしたことで、当然、杉浦(漁協)の怒りを買い、後には引けなくなってしまう。

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