『HiGH&LOW』不良役と『PRINCE OF LEGEND』王子役 ギャップから紐解く俳優陣の魅力

『ハイロー』『プリレジェ』俳優陣のギャップ

 『HiGH&LOW』シリーズ最新作の『HiGH&LOW THE WORST X』が公開中だ。この作品は、EXILE HIROが企画・プロデュースを務めており、LDH所属のアーティストや俳優たちが多く出演している。そんな『HiGH&LOW』シリーズの製作陣が集結し、EXILE HIROがエグゼクティブプロデューサーを務めた作品が『PRINCE OF LEGEND』シリーズである。この作品は、出演俳優やチーム編成となっているところなど共通点があるが、全員がジャンルの違う王子として登場しているというところに『HiGH&LOW』シリーズとの大きな違いがある。両作品を比較し、それぞれの作品で演じているキャラクターの魅力と違いから俳優たちの魅力を考えていく。

川村壱馬

 『HiGH&LOW』シリーズでは、鬼邪高校全日制の頭としてリーダーシップを発揮する一方で、強い相手とやり合いたいのを抑えられない喧嘩が大好きな一面があり、天真爛漫で好奇心旺盛で人を惹きつける、誰よりも仲間思いの花岡楓士雄を演じる。

 一方、『PRINCE OF LEGEND』シリーズで演じる京極竜は、Team京極兄弟の“ヤンキー王子弟”で兄の尊人(鈴木伸之)を心から尊敬し支えるしっかり者。Teamネクストとバスケしている時など一見クールだが、大好きな兄の前では弟らしく甘えん坊になる一面もある。

 THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカルで、『PRINCE OF LEGEND』が俳優デビュー作となった川村。出演作品は『HiGH&LOW』シリーズと『PRINCE OF LEGEND』シリーズと俳優としてのキャリアはまだ浅いが、10月28日に公開される『貞子DX』への出演が決定し、今後の俳優活動に期待が高まる。どちらかというと楓士雄は『PRINCE OF LEGEND』シリーズで鈴木伸之が演じる京極尊人と、竜は『HiGH&LOW』シリーズで吉野北人が演じる高城司とそれぞれ似ている。しかし、竜がたまに見せる弟らしく兄の尊人に甘える一面は無邪気で、楓士雄との共通性を感じる。

吉野北人

 『HiGH&LOW』シリーズでは、親友の楓士雄が鬼邪高校全日制を転校した後、その喪失感から退学も考えていたが、楓士雄が再度転入してきてからは相棒として敵の分析や状況把握をして楓士雄を支える頭脳派の高城司を演じる。

 『PRINCE OF LEGEND』シリーズでは、Teamネクストの“ダンス王子レッド”でダンスが大好きで、クールに見えるが好きな女の子には一途な一面を持ち、メンバーと竜とバスケをする姿がフレッシュで努力家な天童光輝を演じている。続く『貴族降臨 PRINCE OF LEGEND』では母の経営する店を守るため、ルイと改名してクラブ・ノーブルに所属する。

 吉野はTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカルで、『PRINCE OF LEGEND』シリーズの作中で特技のバスケを披露している。映画『私がモテてどうすんだ』、『トーキョー製麺所』(MBS/TBS)では主演を務め、紳士的で真面目で頑固な役やイケメン役、天然な役などを演じている。司と光輝は、親友とは別で1人で行動したり1人で抱え込む所は共通しているが、司の方が頭脳派の分、同年代なのにどこか大人びていているように感じた。司は他の出演作品で演じている役とは少し違うタイプのキャラクターであり、俳優としてのさらなる可能性を秘めている。

前田公輝

 『HiGH&LOW』シリーズでは、鬼邪高校全日制で楓士雄がいない間、頭に君臨していたかなりの実力者だが、眼鏡にローファー、学ランで読書と釣りが好きという凶悪ヤンキー校の生徒とは思えない容姿と性格で、クールで冷静沈着な頭脳派でもある轟洋介を演じた前田。

 『PRINCE OF LEGEND』シリーズでは、『貴族誕生』のみの出演で打倒シニアを掲げるクラブ・サンマルチノのNo.2。金髪と眼鏡がトレードマークで、チャラいだけではなく真面目な一面もありNo.1ホストの伊集院信虎(板垣瑞生)を支え、よき理解者である歩夢を演じている。

 前田は、6歳から子役をはじめ『天才てれびくんMAX』(NHK Eテレ)ではテレビ戦士として3年間活動をしていた。『デスノート』(日本テレビ系)で刑事役を演じて注目を集め、『ちむどんどん』(NHK総合)や『赤ひげ』(NHK BSプレミアム)など様々な作品に出演している。俳優活動のほかにもファッションブランド「GM」も設立しており、幅広く活動中だ。轟と歩夢は、轟が静だとすると歩夢は動のように真逆のタイプだが、どこか上品で仲間想いでも素直ではないところに共通性を感じさせる。

塩野瑛久

 『HiGH&LOW』シリーズでは、鬼邪高校全日制と激突した鳳仙学園の頭の上田佐智雄(志尊淳)を支える四天王の1人。気だるげだが冷静な頭脳派で佐智雄のよき相談役であり、抗争でやり合った轟とは釣り仲間という関係で、金髪ハーフアップに薄紫のサングラスがトレードマークの小田島有剣を演じる。

 『PRINCE OF LEGEND』シリーズでは、Team奏の“メガネ王子”で常にタブレットを持ち歩き、幼い頃から一緒の朱雀奏(片寄涼太)に関わる人物の情報を徹底的にリサーチしたり、庶民知識がない奏をサポートする第1側近のクールで真面目な久遠誠一郎を演じた。『貴族降臨』では、今まで尽くしてきた奏を裏切り、クールで真面目な雰囲気はそのままで黒髪から金髪に染めてラファエルと改名し、クラブ・ノーブルに所属する。

 塩野は、第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで審査員特別賞とAOKI賞を受賞したことをきっかけに芸能界デビュー。『獣電戦隊キョウリュウジャー』(テレビ朝日系)で無口でちょっと無愛想でクールな立風館ソウジ/キョウリュウグリーンを熱演し、知名度を上げた。クセが強めの社長役から策略家、潜入担当の役など様々な役を演じ、テレビだけではなく舞台へも出演する個性派俳優だ。小田島と誠一郎は、チャラそうな見た目と優等生のような見た目で全く違うように感じるが、しっかりと周りを見ていて冷静に分析や判断ができる頭脳派なところは似通っており、誠一郎よりもラファエルの方がさらに共通している所が多い。また、佐智雄の相談相手である小田島と奏に情報を教える誠一郎は、ポジションがどことなく似ている。

佐藤流司

 『HiGH&LOW』シリーズでは、別の高校の頭だったが相棒の横山清史(うきえやサトシ)と共に鬼邪高校全日制に転入した西川泰史を演じた佐藤。泰史は、スピードで相手を翻弄する喧嘩スタイルのかなり好戦的な狂犬で、金髪にバラ柄の服がトレードマークのキャラクターだ。

 『PRINCE OF LEGEND』シリーズでは、『貴族誕生』のみの出演でナイトリングの頂点に君臨するシニアが代表を務めるクラブ・テキサスのNo.3で、英語交じりで話すのが特徴的な星矢を演じている。

 佐藤は『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系)で俳優デビューをし、『シェアするラ!インスタントラーメンアレンジ部はじめました』(BS-TBS)では主演を務めた。『忍たま乱太郎』で舞台デビューを果たすと『テニスの王子様』『NARUTO』『刀剣乱舞』など様々な2.5次元ミュージカルに出演し、特技のアクロバットや殺陣を活かしたアクションで観客を魅了させている。また、Ryujiという名で歌手デビューもするなど幅広い活躍を見せる。泰史と星矢は、少しおバカな清史に対して泰史が見せる辛辣な一面が、全日土木でシンタロウ達を煽った星矢に共通しているように感じた。また、泰史の喧嘩シーンには特技の空手とアクロバットが活かされている。

中島健

 『HiGH&LOW』シリーズでは、鬼邪高校全日制の1年のトップとなった実力者であり、楓士雄を尊敬しているヒップホップ好きでジャージに金髪ドレッドの中・中一派の中岡を演じる。

 『PRINCE OF LEGEND』シリーズでは、全日土木で幼なじみのシンタロウを右腕として支えながら働いている茶髪とバンダナがトレードマークのゴロウを演じ、クラブ・ノーブルではピエールと改名。前やサイドの髪をねじってピンで止めてオールバックのような髪型で、金のマイクでコールを担当し盛り上げる。

 モデル、タレント、俳優として幅広く活動している中島は、『プリズン13』『人狼ゲーム デスゲームの運営人』『シグナル100』など話題のホラー作品に出演しており、『真夏のオオカミくんには騙されない』(ABEMA)シーズン2では平本蓮と中本恵那との三角関係で注目を集め、演技とのギャップに胸を打たれる。中岡とピエールは、派手でチャラそうなファッションがホストらしいチャラさとコールに共通している。しかし、一見チャラそうな中岡だが、楓士雄への憧れと忠誠心は強く真面目なところもあり、そこはゴロウらしさも感じられる。

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