新海誠『すずめの戸締まり』音楽はRADWIMPS×陣内一真の共作に 主題歌の歌唱は十明

『すずめの戸締まり』音楽はRADWIMPS

 11月11日に公開される『すずめの戸締まり』の音楽を新海誠作品3度目のタッグとなるRADWIMPSが担当することが発表された。

 本作は、『君の名は。』(2016年)、『天気の子』(2019年)に続く、新海監督3年ぶりとなる最新作。日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく旅をする少女・すずめの解放と成長を描く冒険物語となっている。

 製作発表会見で「今作では映画館に足を運ぶ理由になるような作品作りをしたい」「映画館のスクリーンで、人間の持っている“物語に没入する能力”を最も発揮できる絵作り、音作りをやっていきたい」と決意を語っていた新海監督。そこで、新海監督と制作陣の挑戦として、シアトルを拠点としながらハリウッド映画の音楽も手掛け、日米で活躍している映画音楽作曲家の陣内一真にRADWIMPSとの共作をオファーし、新海誠×RADWIMPS×陣内一真という音楽体制が実現した。

 陣内とのタッグについて、RADWIMPSの野田洋次郎は「映画音楽、そしてゲーム音楽など多岐に渡って長年創作をされてきた陣内さんとの共同作業は一言では言えないくらいの経験値と、新たな視野を与えてくれました」と語り、本作への参加について陣内は「RADWIMPS さんのすばらしい音楽と共存できる空気感や躍動感を見つける工程はとてもエキサイティングで緊張感がありましたが、この作品に求められる音楽として1つの形を示せているのではないかと感じています」とコメントした。また、アクションシーンの音楽はハリウッドでの音楽制作のアイデアを活かしたとも話している。

 さらにレコーディングの一部は、新海作品初となる海外で行われ、これまでビートルズをはじめ、数多くのミュージシャンがレコーディングを行っているロンドンのアビー・ロード・スタジオでも実施された。野田と陣内が二人で話し合いながら、演奏担当の海外オーケストラグループに英語で指示をする一幕も。

 また、予告編で流れている主題歌「すずめ」を歌う歌唱担当には、TikTokで活動していた十明が選ばれた。野田の希望もあり、実際にオーディションも行った中で、新海とRADWIMPSの心を掴んだ十明。野田はは十明の声について、「この楽曲と十明の間に、誰も割って入ることのできない結びつきを感じた」と称している。主題歌「すずめ」を担当することが決まったことについて、十明は「RADWIMPSさんの、繊細で耳に残るメロディと新海監督の美しく心動かす世界観の一部になれたことをとても嬉しく思います」と喜びを語った。

コメント

RADWIMPS 野田洋次郎

最初にお話をいただいたのは2020年春ごろでした。日本がその後2年以上に渡り困惑と不自由に突入するまさにそのタイミングで脚本を頂き、想像力と空想を存分に羽ばたかせて音楽で何ができるかをひたすら考えはじめたのを覚えています。陣内さんとは、つい先日ロンドンのアビーロードスタジオで合流し、オーケストラをはじめとしたレコーディングをさせていただきました。映画音楽、そしてゲーム音楽など多岐に渡って長年創作をされてきた陣内さんとの共同作業は一言では言えないくらいの経験値と、新たな視野を与えてくれました。この先彼ともっと仕事がしてみたい、どんなクリエイティブが共にできるか一人勝手に楽しみにしています。女性ボーカルは、何人もの方にオーディションをさせていただきました。主題歌の『すずめ』冒頭の「ルールルルルルールー」を十明が歌い出した瞬間、彼女の声でこの歌は歌われなければいけないと感じました。瞬時に。この楽曲と十明の間に、誰も割って入ることのできない強い結びつきを感じたのです。きっと新海監督も同じように感じられたと思います。彼女が今の年齢で、今の姿だからこそ響かせられる声を、今この楽曲の中に収められたことを嬉しく思います。

陣内一真

『君の名は。』と『天気の子』での新海監督とRADWIMPSさんのタッグは、とても良い親和性を既に感じていましたので、『すずめの戸締まり』でお声かけいただいた時は正直驚いたのと同時に、「なぜ自分に声がかかったのだろうか」と素直に疑問が湧いていました。顔合わせミーティングで新海監督と川村プロデューサーのお話を伺った時、自分の役割は音楽を通して新海ワールドの体験を一歩先へ後押しする役割なのだと感じました。RADWIMPSさんのすばらしい音楽と共存できる空気感や躍動感を見つける工程はとてもエキサイティングで緊張感がありましたが、この作品に求められる音楽として1つの形を示せているので
はないかと感じています。
作品を俯瞰した時、2人がそれぞれ独自にメロディを次々と作っていくとテーマ性が薄れてしまいます。洋次郎さんが担当されたシーンにも、私が担当したシーンにも、それぞれ音楽的なテーマが必要でした。洋次郎さんの楽曲をアレンジさせていただく機会もありましたが、ビジュアルとメロディが自然と目的地へ連れて行ってくれるような感覚でした。こちらのアイデアにもとてもオープンに接していただき、音楽的なキャッチボールができたことは、作品の色を決める過程で重要な作業になったと感じていますし、今後の可能性も見えてくるような瞬間でした。
また、今作のレコーディングやミキシングには数々の名作映画の音を作ってきた素晴らしい音楽チームに参加していただき、『すずめの戸締まり』ならではの音楽体験になっていると思います。ぜひ劇場で体感していただけたら嬉しいです。

十明

主題歌を歌わせて頂けることになったと聞いた時、信じられませんでした。
驚きと喜びと不安が同時に押し寄せてきて、頭がぼーっとしてしまう日が続きました。
オーディションでは、初めてのレコーディングだったこともあり、不安と緊張で声が震え、ほとんど息の音のようになってしまったことを覚えています。この「すずめ」という楽曲を受け取った時、すんなりと自分がどう歌いたいのかイメージが湧いてきました。その感覚に頼り、本番レコーディングでは、音と言葉が一番響くようにのびのびと自分らしく歌うことが出来たように思います。
予告映像から流れる自分の歌を初めて聴いた時は、今まで味わったことない震えを感じました。
RADWIMPSさんの、繊細で耳に残るメロディと新海監督の美しく心動かす世界観の一部になれたことをとても嬉しく思います。

新海誠(監督)

『すずめの戸締まり』の脚本の第1稿を書き上げた後、迷わずすぐに洋次郎さんに送りました。過去二作とははっきりと違う音楽が必要になる映画だと思いましたし、今までよりもずっと鮮烈な音楽体験を観客に与えたかったのです。そのための方法を一緒に探してくれるのは、やはり RADWIMPS だと思いました。
二年以上の制作期間中に、十明さんの無二の歌声と出会い、どこまでも頼もしい陣内さんと出会いました。二人とも、映画の形をさらに大きく変えてくれました。音楽体験と呼ぶにふさわしいものを、劇場で体感していただけると確信しています。どうか楽しみにしていただけますように。

■公開情報
『すずめの戸締まり』
11月11日(金)全国公開
原作・脚本・監督:新海誠
出演:原菜乃華、松村北斗
キャラクターデザイン:田中将賀
作画監督:土屋堅一
美術監督:丹治匠
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
制作プロデュース:STORY inc.
配給:東宝
©︎2022「すずめの戸締まり」製作委員会

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