波瑠×間宮祥太朗の最強バディにガッツポーズ 一味違った『魔法のリノベ』の恋愛の描き方

『魔法のリノベ』一味違う恋愛の描き方

 “恋敵”の留守中に、エンジン全開でアプローチをかけてくる竜之介とミコトに翻弄され、テンパった小梅と玄之介は、それぞれ頭と心を整理しに山に登った。そして、図らずも山頂で再会。堰を切ったようにいつものトークが炸裂する。2人自身にも、そして観ている視聴者にも「ああ、やっぱりこの2人は一緒でなきゃ」と強く思わせるシーンだ。軽口と小気味よいやり取りの中、お互いをたまらなく愛おしそうに見つめる表情がほんの刹那、映し出される。この粋な「寸止め」が心地よい。2人の微細な心の襞を表現しきる波瑠と間宮祥太朗の演技に、思わず引き込まれてしまう。

 そして日常に戻り、小梅は玄之介とともに営業を再開。「犬と猫のシェアハウス」のプレゼンに挑む。依頼者は、竜之介の行きつけのバーのママ・京子(YOU)と、その夫の弘前(戸次重幸)。結婚を機に新居を構えるので、それぞれの“連れ子”である犬2頭と猫4頭で「仲良く暮らせる家」という希望だ。「猫と犬」、「なるようになる」主義の京子と、心配性の弘前、「真逆の個性の二者」が互いを尊重しながら心地よく共生するための家を模索し、最適解を見つけていく。小梅と玄之介の「凸と凹」がカッチリとハマり、公私共にベスト・パートナーになっていく過程がシンクロする。

 プレゼンの締めくくりに小梅が言った「『始めてみないとわからない』を楽しむ家にいたしましょう」「絶対うまくいきます」という台詞は、小梅が自分自身にも言い聞かせていることがわかる。慎重派で、どちらかと言えば融通の効かないほうだった小梅が、玄之介に心をほぐされ、彼の影響を受けて「柔らかさ」を身につけ、かつての「人間関係のこじらせ」によるトラウマを乗り越えた証拠だろう。

 いつものおでん屋台でプレゼン成功の祝杯を交わしながら、小梅と玄之介は訥々と自分の気持ちを語り出す。玄之介は、「重たいだろうなと思って、言わずにいたんですけど……ずっと楽しいんです。あの日から」と、お先真っ暗だった自分の人生を小梅が明るく照らしてくれたこと、自分の中で小梅の存在がとてつもなく大きくなっていることを告げる。しかし、恋仲になることで、仕事での「最高のバディ」の関係を壊すのが怖くもある。そんな玄之介に小梅は、「壊れたら、また作り直せばいいんです。もともとそんな2人じゃないですか。私も玄之介さんと会ってから、楽しいです。ずっと」と返す。

 「好き」「愛してる」「ハグ」「キス」などというありきたりな表現を一切使わず、「この2人には、お互いしかいない」と思わせる作劇に唸る。「キュン」というよりは、テレビの前で「うぉーっ!」っとガッツボーズをとってしまうような。

 あくまでも「お仕事ドラマ」であり「人生のドラマ」であるという基本姿勢を崩さない。小梅と玄之介の関係を安い「キュン」で消費させない、作り手の心意気に痺れる。不器用に、やっと手を繋いだ2人に心から拍手を送りたくなるのは、このドラマがこれまで2人の「同志」としての間柄の尊さを、丁寧に描き続けてきたからこそ。実は「恋愛」も、人間愛や信頼関係の延長線上にあるという真理を突きつけてくるような、第8話のラストシーンだった。

 よくある「仕事+恋愛、そしてキュン」のドラマとは一線を画す、この分厚い「人間ドラマ」における主人公2人の関係が今後どうなっていくのか。また、中盤からずっと水面下で動いている蔵之介と有川(原田泰蔵)の因縁がどう関わってくるのか、物語の最終章を見届けたい。

■放送情報
『魔法のリノベ』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:波瑠、間宮祥太朗、金子大地、吉野北人(THE RAMPAGE)、SUMIRE、本多力、山下航平、YOU、近藤芳正、原田泰造、遠藤憲一、浅野ゆう子、佐伯大地、渡辺真起子、寺島進、村川絵梨、岩松了ほか
原作:星崎真紀 『魔法のリノベ』(双葉社 JOUR COMICS)
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
主題歌:ヨルシカ「チノカテ」(ユニバーサルJ)
音楽:瀬川英史
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、伊藤茜(メディアプルポ)、田端綾子(メディアプルポ)
監督:瑠東東一郎、本田隆一
制作協力:メディアプルポ
制作著作:カンテレ
©カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/mahorino/
公式Twitter:@mahorino8
公式Instagram:@mahorino88

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