のん、役者業は「一生現役!」 デビュー当時からの変化、そして30代への意気込みを語る

のん、デビュー当時からの変化と演技への思い

 『横道世之介』『子供はわかってあげない』などの沖田修一が監督を務め、さかなクン初の自叙伝『さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~』(講談社刊)を映画化した『さかなのこ』が現在公開中だ。子供のように天真爛漫で好きなことに一直線、周囲の人間をいつのまにか幸せにする不思議な魅力にあふれた主人公“ミー坊”役で主演を務めたのは、役者としてはもちろん、“創作あーちすと”や監督としても活躍の幅を広げるのん。「さかなクンを演じられるのはのんしかいないと思った」と自身を持って話す彼女に、役作りや撮影現場でのエピソード、演技への思いや30代への意気込みなどについて話を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

のん、役者業は「一生現役!」 映画『さかなのこ』の役作りと30代への意気込みを語る

「“のんしかいないのかも”って思えた」

さかなのこ

ーーさかなクンの役をのんさんが演じると知ったときはとても驚いたのですが、のんさんは今回の企画の話を聞いたとき、率直にどのような感想を抱きましたか?

のん:衝撃的でした。「私がさかなクンをやっていいの?」ってビックリしたんですけど、さかなクンの役をできる人が他にいるかなって考えたときに、「のんしかいないのかも」って思えたんです。すごく腑に落ちて、是非やりたいなという気持ちでいっぱいになっていました。

ーーミー坊を演じるにあたって、どんなことを意識しましたか?

のん:YouTubeで「さかなクンチャンネル」を見ながら、さかなクンの体重感や身のこなし、振る舞いを研究したり、『TVチャンピオン』(テレビ東京系)に出ていらっしゃったときのさかなクンを見つけて研究したりしていました。その頃は、“覚醒前”みたいな感じで、今のさかなクンとはちょっと雰囲気が違うんですよ。ちょっと静かな青年という感じで。その要素を取り入れられたらいいのかなと思って、参考にしました。

のん

ーー実際に過去のさかなクンの映像を見て、役作りの参考にしたわけですね。

のん:そうですね。振る舞いなどは馴染んでいたいなと思ったので、飛び跳ねたり驚いたりしたときの仕草や、嬉しかったときに拳を突き上げる感じなどを研究しました。子供時代のミー坊を演じている(西村)瑞季ちゃんとも、一緒にガッツポーズの練習をしました。

ーー確かに動きなどがリンクしていたように思います。

のん:沖田(修一)監督が、子供時代のミー坊と合わせてほしいとおっしゃっていて。本読みをしたときに瑞季ちゃんが残っていてくれて、2人で走り回りながらガッツポーズで飛び跳ねる練習をしました(笑)。

ーーそんな時間もあったんですね。映画を観ていて、皆さんの楽しい空気感が伝わってきました。

のん:すごく幸せでした。沖田監督が情熱を持って、ものすごい集中力で映画を撮られるので、その集中力に乗っかって演技すると、自分も良くなってくるという。そういう循環のある現場だったので、役者としてはすごく幸せな時間でした。

さかなのこ

ーーミー坊を演じるにあたって、何かハードルだったり難しかったことはありましたか?

のん:“ギョギョ”という感じをどのくらいのトーンに持っていくべきなのかは難しかったです。でも私は、「さかなクンを演じるのはのんしかいないな」と思ったときには全然違和感を抱いておらず、すごく納得していたので、あとはミー坊という人をどう演じるかを考えて、それを体現するだけでした。でも人からどう思われるかはまた別の話なので、現場に入るときはドキドキしていたんですけど、沖田監督も「学ラン違和感ないですね」って言ってくださったり、キャストのみなさんも私のことをミー坊として何の疑問もなく受け入れてくださっている感覚がすごくあったんです。そのおかげもあって、「あ、私はミー坊なんだ」と自信を持って取り組むことができました。

ーー作品を観て、本当にのんさんにしかできない役だなと思いました。

のん:自分でも思いました(笑)。男の人にも女の人にも、どの生物にもできなくて、唯一できる存在が自分だなと。すごく納得できたので、絶対に自分がやりたいなと思いました。

ーーのんさんの新たな代表作になりそうですよね。

のん:本当にそう思います。今後、宝物になる作品だと思います。

さかなのこ

ーー共演者も、比較的年齢の近い同世代の方々が集まっています。

のん:柳楽優弥さん、夏帆さん、磯村勇斗さん、岡山天音さん、島崎遥香さんとかは近いですね。今回、初めましての方も多かったんですよ。夏帆さんや磯村さんは初めてで……柳楽さんは昔、映画祭ですれ違ったことがありました。「写真取ってください!」って言って、一緒に記念写真を撮ってもらいました(笑)。

さかなのこ

ーーそんなエピソードがあったんですね(笑)。

のん:そうなんですよ(笑)。でも本当にみなさん素晴らしかったです。新しい現場や初めましての方とご一緒するときは毎回ものすごく緊張するんですけど、みなさんが私をミー坊として何の疑問もなく受け入れてくださっている感じがしたので、すごくラクにいられることができました。あと、井川(遥)さんが本読みのときに、「のんちゃんがミー坊役をやると知って、自信を持ってお母さん役を引き受けたんです」と、素敵なキャスティングだと思ったということを伝えてくださったのですが、それがすごく嬉しくて。

さかなのこ

ーーそれは嬉しい言葉ですね。

のん:役柄もそうですけど、井川さんが本当に素敵で、ご一緒できて本当によかったです。あと、不良チームが楽しそうにオフィシャルの写真を撮っているときに、私は遠くから「楽しそうだな~」と思いながら眺めていたんですけど、磯村さんが「ミー坊もこっち来なよ!」って大声で声をかけてくれたことがあって。「磯村さんには私がミー坊に見えてるんだ!」と、それがすごく嬉しかったのも覚えています。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる