『ちむどんどん』“男が救う”図式は続くのか 智×歌子、賢秀×清恵、気になる2組の行く末

『ちむどんどん』“男が救う”図式は続くのか

 最終回まであと4週、そろそろ最終コーナーである。 “朝ドラ”ことNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』第21週「君と僕のイナムドゥチ」は、暢子(黒島結菜)の念願の沖縄料理店「ちむどんどん」がオープンした。新しい命を宿しながら新たなスタートを切る暢子と和彦(宮沢氷魚)にふさわしい料理がイナムドゥチ。沖縄でお正月などお祝いに食べる料理である。

 暢子と和彦の新婚生活は順調だが、気になるのは歌子(上白石萌歌)と智(前田公輝)と、賢秀(竜星涼)と清恵(佐津川愛美)――2組の行く末だ。どちらもお似合いに見えるが、なかなか進展しない。ようやく第21週でじょじょに光明が見えはじめた気がする。

 まず、歌子と智。歌子は子供の頃から智が好きだったが、彼は暢子に夢中だった。暢子が結婚してもまだ諦めきれていないのではないかと歌子は疑う。実は智はじょじょに歌子に惹かれていたが、暢子に振られて妹の歌子に乗り換えるとまわりから思われることを気にして積極的になれない。

 暢子には理性よりも本能を暴走させていた智だが、歌子に関しては理性が先に立って感情を抑制する。暢子の件で反省したのかもしれない。でも好きになると止まらないのは変わらないようで、歌子にネックレスを買ったり、上京し「ちむどんどん」を手伝うことになった歌子に親切にする矢作(井之脇海)を見て対抗心のようなものを芽生えさせたりする。なまじ、上白石萌歌と井之脇海が『義母と娘のブルース』(TBS系)ではいい感じになっていく幼なじみ役を演じて評判が良かったためちょっとした絡みのシーンでもなんだかいいムードが漂うというメタ構造を楽しめるようになっている。

 智が贈ったネックレスが子供のときに歌子に贈った手作りのメダルを思い出させるような大きく赤いキラキラしたもので、それが微笑ましい。それを買ったときの話を善一(山路和弘)にする智。善一は「男はな人を好きになるとかっこ悪くなる」と助言する。妻を早くに亡くし、優子(仲間由紀恵)をひそかに想い続けたものの振られてしまった善一だからこそ説得力があった。恋すると格好つけていられなくなる男ふたりのやるせなさ。

 が、その後も、智と歌子は不器用で一向に進展しない。歌子は「姉のお古」という噂話を耳にし、智と喧嘩してしまう。そんなとき、智が交通事故で「瀕死の重体」という連絡が入り、暢子も歌子も病院に駆けつける。「瀕死の重体」というワードはこの連絡がどうやらすこしおかしいぞというヒントになっていたようだ。ともあれ。雨降って地固まる。誤解を経て素直になってきた歌子と智である。最初からふたりはお似合いに見えていて、智が暢子を好きなのが不自然なくらいだったので(人の想いは複雑である)、早く歌子と智がうまくいくといいなあと願っている。

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