上白石萌歌、上白石萌音、浜辺美波 朝ドラで躍進する「東宝シンデレラ」女優たち

朝ドラで躍進する「東宝シンデレラ」出身女優

 最終回まで約1カ月となった朝ドラ『ちむどんどん』(NHK総合)。そのすぐ後には福原遥がヒロインを務める『舞いあがれ!』(NHK総合)がスタート。さらに主演に神木隆之介、ヒロインに浜辺美波を迎えた『らんまん』(NHK総合)が2023年春に放送を控えている状態。先日には朝ドラ初出演となる広末涼子や、志尊淳、佐久間由衣といった過去の朝ドラで好演を見せたキャストが並ぶ、驚きのキャスティング発表も話題を呼んだ。

 筆者が最近感じるのは「東宝シンデレラ」オーディション出身の女優が多く朝ドラで活躍しているということ。今年の6月頃、TOHOシネマズで映画を観た際に、上映前に流れてきた「東宝シンデレラ」オーディションのCMを観て、そのことをより強く実感した。

 2011年に開催された第7回では、グランプリに上白石萌歌、審査員特別賞に上白石萌音、ニュージェネレーション賞に浜辺美波が選ばれている。上白石萌歌は、現在放送中の『ちむどんどん』でヒロイン・暢子(黒島結菜)の妹・歌子を好演中。adieu名義でアーティスト活動も行っている彼女の歌声を劇中歌へと生かしながら、長年にわたる一途な智(前田公輝)への恋心をその繊細かつ時に大胆な演技によって体現している。『ちむどんどん』が始まった当初は、同時期にスタートした『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)にもヒロインの七瀬美雪として出演しているというかなりのメディア露出度だったが、時が経ち、現在はヒロインを務める映画『アキラとあきら』が上映中。常に引っ張りだこの状態だ。

 上白石萌音は、『ちむどんどん』の前期朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)でヒロインの一人である安子を演じた。俳優業にとどまらずナレーションや文筆家など、幅広い活躍を見せている萌音だが、中でも勢いを増しているのはアーティスト活動。昨年末に『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への出場を決めた彼女は、来年1月に日本武道館公演を開催する。ここで特筆しておきたいのは、俳優業での1つひとつの出会いがアーティスト活動にも伝播しているということ。7月にリリースされた3rdアルバム『name』は、『カムカム』の音楽を担当した金子隆博が作曲に参加。アルバムタイトル曲とも言える「君の名前」には、彼女にとって大切な作品となった舞台『千と千尋の神隠し』と『カムカム』に共通している“名前”がモチーフとなっている。先日、東京国際フォーラム ホールAで行われた「『yattokosa』Tour 2022」に足を運んだ際、目の当たりにしたのはファン層の広さ。まさに老若男女。朝ドラを経てさらに国民的俳優へと歩みを進めた好例の一人と言えるだろう。

 浜辺は先述の通りに2023年春にスタートの『らんまん』でヒロインを演じる。朝ドラへの出演は2015年放送の『まれ』(NHK総合)以来8年ぶり2度目だ。映画『君の膵臓をたべたい』や『映画 賭ケグルイ』シリーズ、今年放送の作品では『ドクターホワイト』(カンテレ・フジテレビ系)に映画『やがて海へと届く』など、着実に人気俳優としてのキャリアを邁進する中、さらなるステップアップとなるのが間違いなく『らんまん』だろう。そして、それと同時期に公開となるのが、浜辺がヒロインを務める映画『シン・仮面ライダー』だ。『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『シン・ウルトラマン』に続く、人気シリーズのヒロインということで期待もかなり大きいが、その分評価を大きく上げることができる。来春は浜辺にとってターニングポイントになることは必至だ。

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