さかなクンはどんな子どもだった? 『さかなのこ』のんに溢れる“おさかな愛”
本作でのお気に入りシーンは、高校生のミー坊が地元のヤンキーの抗争に巻き込まれる場面だ。ミー坊は同じ高校の総長(磯村勇斗)が率いるツッパリ集団たちと、カブトガニをお散歩中の港で、ミー坊がシメたばかりのおさかなを、他校の不良・カミソリ籾(岡山天音)に踏みつぶされ激怒。「おさかなさんへ謝れ! 土下座しろ不細工!!」。そこからバトルが勃発するのだが、コミカルでどこか平和な雰囲気が漂う、こんなに微笑ましい大乱闘シーンはほかにないというくらい素敵な仕上がりになっている。
「好きに勝るものなしでギョざいます」。こんなにもおさかなを愛し、そしてこんなにも純粋な好きという気持ちが詰まったその人柄を、劇中でミー坊に出会う人たち同様、劇場に訪れた人たちは好きになってしまうだろう。幼なじみの夏帆演じるモモコと柳楽優弥演じるヒヨが、それぞれミー坊を導いていく優しさにも、胸がジーンとなる展開が訪れる。ミー坊、そして登場人物たちが描く人生のグラデーションを楽しんでもらいたい。
なお、映画を観た帰りには絶対におさかなを食べたい気分になるので、劇場のチケットと合わせて近くのお店を予約しておくのがベストです。
■公開情報
『さかなのこ』
全国公開中
出演:のん、柳楽優弥、夏帆、磯村勇斗、岡山天音、三宅弘城、井川遥
原作:さかなクン『さかなクンの一魚一会 〜まいにち夢中な人生!〜』(講談社刊)
監督・脚本:沖田修一
脚本:前田司郎
音楽:パスカルズ
主題歌:CHAI「夢のはなし」(Sony Music Labels)
製作:『さかなのこ』製作委員会
制作・配給:東京テアトル
©2022「さかなのこ」製作委員会