『六本木クラス』平手友梨奈が体現した失恋の痛み 雪から雨への変更が切なさを際立たせる

『六本木クラス』切なさ際立つ雨の演出

 ラストスパートに突入しているドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系)。9月1日放送の第9話では、新(竹内涼真)に向けた葵(平手友梨奈)の「プランB」が発動する。

 「一緒にいたいから」と二代目みやべのマネージャーに立候補してきた葵は、新の腕に残る傷を見て「もう二度と一人で悲しませたくない。この人に手を出した奴らはみんな潰してやる」と恋心を徐々に愛へと変えてきた。その思いが長屋への怒り、復讐心として結実したのが前回、龍河(早乙女太一)に過去の轢き逃げ事件を自白させたシーン。葵を心配した新のハグに目を奪われがちだが、新に葵が必死に録音したことを伝える姿は自分が危険を顧みてまでも社長を優先する前のめりな思いがありありと伝わってくる。

 劇中で葵が口にする「2年がかりの計画」は、優香(新木優子)を長年思っている新を振り向かせる言わば「プランA」。少年漫画の主人公のようなヒーロータイプの新は、葵がウインクを飛ばしても、「株式会社RC」の記念写真でぴったりくっついても、恋人繋ぎをする優香との間に無理やり割り込んでもその好意には気づかない。でありながら、何かと頭は撫でてくる罪深き男だ。

 「何事もタイミングってもんがあるでしょ? フッ、2年後を見てろ」ーー葵は新と手を繋ぐ優香の後ろ姿に向けて宣戦布告する。その言葉を聞いていたのは龍二(鈴鹿央士)。葵のためにみやべを辞め、後継者になるべく長屋にやってきたが“息子”扱いされるばかり。そんな焦りと苛立ちから、龍二は飲み会の場で新に「今まで葵を女として見たことありますか?」と最低な質問をしてしまう。先ほどまで新のファーストキスを奪ったのは自分だとほくそ笑んでいた葵は、新の「ないな。女として見たことはない」という返答に自然と涙が溢れてしまう。葵にとっては計画が台無しの、最悪なタイミングだ。

 店を飛び出す葵を追いかけてきた新。龍二に全てをぶち壊された葵は「プランB」として、その場で告白することを決心する。何度も告げられる「愛してる」という言葉。初めて会った時から揺らぐことのない好きという気持ち。龍二の好意を弄んでいる最低な自分を認めながら、葵は自分の全てをぶつける。しかし、新にとって葵は10個年の差のある妹のような存在で、大切な仕事のパートナー。「好きになるな」という残酷な一言が葵に告げられる。

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