『石子と羽男』は“見えないもの”にこそ注目 異なるタイプの優しさとそれぞれの想いが錯綜
人の優しさには2つのタイプがある。痛みに手を差し伸べる“見える優しさ”と、痛みを察してそっと距離を置く“見えない優しさ”。あなたならどちらにグッとくるだろうか。金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)第5話は、異なるタイプの優しさとそれぞれの想いが錯綜していく。
ご近所トラブルの真相は“見えない優しさ”の恋煩い
今回、石子(有村架純)と羽男(中村倫也)が担当することになったのは、そば店の塩崎(おいでやす小田)の叔父・重野(中村梅雀)が抱えている近隣トラブル。隣の家の木に発生する毛虫に困っているため、住人の万寿江(風吹ジュン)に角が立たないように対処をお願いするという、羽男からするとかなり“地味な仕事”だ。しかも、重野はぼんやりと心ここにあらずな表情なのも気になるところだったが、万寿江は伸びた木を切ることを快諾。事件は簡単に解決するかと思いきや、後日重野のピアノ騒音に慰謝料を請求する内容証明が届くという不可解さ。この事件、何かがおかしい!?
実は、この内容証明は町内会長が万寿江を想って取った行動だった。いわば“見える優しさ”による、ちょっとした暴走。万寿江はすぐに取り下げることを告げる。そして、むしろ万寿江は一人この家に引っ越してきたときに、何も事情を聞かなかった“見えない優しさ”を持つ重野に惹かれていたのだと明かす。少し前までひそかに映画デートもしていた重野と万寿江。ところが突然、重野から会うことをやめようと言われてしまったのだというのだ。その重野の行動にもきっと“見えない”優しさがあるのだと考えた羽男は、重野が病を抱えていることに気づくのだった。
「もしも仲が深まっても老い先長くないでしょ? 死んだあとの手続きやら、彼女が背負うこと考えたら、このまま独りで……」と、ようやく重野が本音をこぼす。高齢者の恋。それが難しいのは、これまで長く生きてきたぶん引きずって歩くものが多いからかもしれない。一緒に背負わせるにはあまりにも重すぎるあれこれを、石子は生前整理を提案する。
ここでも第1話から伝えられているように、声を上げれば、法律を味方に不安ごとを少しでも軽減することができるのだということが伝えられた。さらに「いくつになっても人生を楽しんでいただきたいです。若い人がよく未来に夢を持てと言われますが、高齢者のみなさんが若者の未来そのものですから」とも。そして、羽男も「高齢者の方は、人生を楽しむ義務があるんじゃないですかね。なんて(笑)」と言葉を添えて、重野の背中を押すのだった。