沢口靖子、『科捜研の女』とクラッカーの38年 お茶の間に愛される普遍的な存在感
テレビ朝日が2022年10月、火曜21時のプライム帯にドラマ枠を新設する。記念すべきトップバッターを飾るのは、沢口靖子が主演を務める『科捜研の女』だ。
本作は、1999年にスタートし、現行の連続ドラマで最長の歴史を誇る人気シリーズ。京都府警科学捜査研究所(通称、科捜研)を舞台に、法医研究員・榊マリコを中心とした、ひと癖もふた癖もある研究員たちが、法医・物理・化学・文書鑑定などの専門技術を武器に事件の真相解明に挑む姿を描いている。
2021年10月より放送されたSeason21まで、木曜20時の“木曜ミステリー枠”で放送されてきたが、同枠は現在放送中の『遺留捜査』第7シリーズをもって終了。この度、16年半ぶりにテレ朝が開設する新ドラマ枠でスタートを切ることになった。
公式サイトによれば、放送枠移動に伴ってドラマ自体も大胆にイメージチェンジ。さらに高度な科学捜査を追求する、「よりスタイリッシュで、よりハイクオリティーな大人の科学ミステリー」に生まれ変わるとのことだ。
23年続く長寿シリーズだけに、これまでも少しずつ変貌を遂げてきた本作。マリコも、そして演じる沢口も作品とともに歳月を重ねてきた。
長澤まさみや上白石萌音・萌歌、浜辺美波らを輩出してきた「東宝シンデレラ」オーディションの最初のグランプリ獲得者としても知られる沢口。芸能界入りからまもなく、映画『ゴジラ』の奥村尚子役で第9回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。翌年には、連続テレビ小説『澪つくし』(NHK総合)でヒロイン・かをる役に抜擢されるなど、“初代シンデレラ”の名に相応しく、一気にスター街道を駆け上ってきた。
そんな彼女が最大の当たり役といえる、“科捜研の女”に出会ったのは30代の頃。当初のマリコは今よりも感情的で、周囲ともぶつかりやすいキャラクターだった。作品自体もコミカル路線だったが、Season4以降はよりシリアスで、マリコの性格にも落ち着きが見られていく。それは、やはり同シーズンの最終回で殉職した木場俊介(小林稔侍)の存在が大きいだろう。
科学的に証明されたものしか信じないマリコと、長年の“捜査の勘”で勝負するタイプの木場刑事。2人は最初こそ対立していたものの、次第に互いを認め合い信頼関係を築いていった。マリコの成長について、沢口はインタビューの中で「木場刑事に、『犯罪だけではなく、人を見ろ』と教わりました。それから事件を通して色んな人物との出会いの中で、人を優しく見つめる女性に成長してきたんです」と語っている(※)。