『ちむどんどん』で筋金入りの悪役に 利重剛、『ユニコーンに乗って』とのギャップも
『ちむどんどん』(NHK総合)でヒロイン・暢子(黒島結菜)の勤務先であるイタリアンレストラン「アッラ・フォンターナ」に招かれざる客がやって来た。強面の輩・権田(利重剛)は、矢作(井之脇海)から“借金返済に充ててくれ”と手渡されたというフォンターナの権利証をチラつかせ、1000万円で買い取るようにオーナーの房子(原田美枝子)に迫る。それを断ると、今度はみかじめ料を求めてくるという始末。いかにも粘着質で関わってはいけない人種であることが登場シーンから一瞬にして伝わってくる。
権田役を演じる利重は、『マー姉ちゃん』『やんちゃくれ』『とと姉ちゃん』に続き、本作が朝ドラ出演4作目。
今クールの連ドラ『ユニコーンに乗って』(TBS系)では、主人公・佐奈(永野芽郁)のビジネスパートナーの功(杉野遥亮)の父親であり、大手不動産グループの社長役を好演している。突然、一人息子がスタートアップ企業を立ち上げると言い出し絶縁を言い渡すも、なんだかんだ息子のことを気にかけている様子が滲む役どころで、ここのところ変化の兆しが見られる功との親子関係にも注目が集まっている。
父親役といえば、『凪のお暇』(TBS系)では高橋一生演じる我聞慎二の父親役を務め、そう多くはない登場シーンの中でも我聞一家の仮面家族ぶりをよく表現していた。
『アバランチ』(カンテレ・フジテレビ系)での総理大臣・郷原栄作役も話題となった。終始シリアスな展開が続く中にあって、郷原の鈍感でマイペースなわがままっぷりやダメっぷりは時に視聴者にとって癒し的存在にもなっていた。アウトロー集団「アバランチ」が内閣官房副長官・大山(渡部篤郎)の手から総理を守るために誘拐するも、彼らがただのテロ集団ではないと薄々気づいていく様子は痛快でもあった。そんな利重が映画『シン・ウルトラマン』では首相補佐官役として、名バイプレイヤーぶりを発揮していた。
さて、『ちむどんどん』では珍しくあからさまに悪役の利重が見られるが、一体権田のフォンターナへの嫌がらせはどこまでエスカレートしてしまうのか。“一度狙われたら最後”“スッポンのようなしつこさ”と周囲から言わしめ、弁護士もお手上げの権田との接点を作ってしまった矢作は今どこで何をしているのだろうか。これ以上、房子が心血注いで築き上げてきた「アッラ・フォンターナ」という城が崩壊する音を聞きたくはない。どこに解決の糸口があるのだろうか。
■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK