『ちむどんどん』賢三が四兄妹に残した言葉 ウークイの夜を経て暢子たちはどう生きる?
母・優子(仲間由紀恵)の再婚話を聞きつけ、久々にやんばるに比嘉四兄妹が大集結した『ちむどんどん』(NHK総合)第15週。
いよいよ優子と父・賢三(大森南朋)のなれ初めなどこれまで語られなかった過去が徐々に明かされたが、亡き父が四兄妹それぞれに残した言葉や教えがふと思い起こされる。
まずは、暢子(黒島結菜)には「暢子は暢子のままで上等。自分の信じた道を行け」と事あるごとに彼女の全てをそのまま肯定し、自分の直感を信じるように伝えていた。心臓発作で倒れ、病床に伏した際にも、賢三は暢子に対してはただ優しく微笑んだだけだったが、その時にもきっと同じことを念じ、託していたのだろう。
そして、自分が“ちむどんどん”することを見つけ料理人になるべく上京した後も、暢子は度々賢三との思い出の中から様々なヒントを得ている。沖縄そばの作り方を教わった際の「ここから先は暢子、自分で考えて、これが美味しいと思ったものを出しなさい。自分を信じて作りなさい」という賢三の言葉は、彼女にとって料理人としての骨格を形作り、いつでも立ち返れる心構えとして今なお暢子を支えている。その後、イタリア料理店「アッラ・フォンターナ」のオーナー・房子(原田美枝子)におでん屋台の建て直しを命じられたものの行き詰まり、誰の意見も耳に届かなくなっていた暢子。そんな彼女を救ったのも、賢三が「足てびち」の調理法を教えてくれた時に話していた「基本の出汁は当たり前で地味だけど、それが一番大事」という“基本”だった。
そしてこの時、同じく壁にぶち当たっていた兄・賢秀(竜星涼)の中でも賢三の記憶が蘇る。幼い頃からトラブルメーカーだった賢秀が、自分のことを疫病神だとして家族の縁を切ると言い出した時にも「邪魔者とかはいない。ケンカしても仲直りできるのが家族。この先、何があってもみんなお前の家族」と力強いメッセージを送っていたのが賢三だ。賢秀も、賢三からの最期の言葉「お母ちゃんとみんなを頼む」を愚直に何とか実現しようとしてはいるのだろう。後に裏話が明かされるものの、実際に暢子が上京できたのも、賢秀のなりふり構わず“何者”かになろうとする勢いあってこそだったのは事実だ。