坂口健太郎×杏『競争の番人』は安定の“お仕事ドラマ”に 『HERO』などと重ねる月9の系譜

『競争の番人』の月9の系譜

 「公正取引委員会(以下、公取委)」は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」いわゆる「独禁法」(この法律の目的については同法第一条を参照していただければ非常に明確でわかりやすい)を運用するために設置された、行政委員会にあたる国の行政機関である。テレビのニュースなどでも比較的その名を耳にする機会はあるが、実際に関わりがなければいまひとつその全容は掴みづらいものだ。7月11日にスタートしたフジテレビ系列月9ドラマ『競争の番人』は、この公取委を題材にした作品である。

 はたしてこの題材がドラマになるにふさわしいのかという心配事はさておき、リーガルドラマにおいて焦点が当たりづらかった“検察官”を題材にした『HERO』に、“裁判官”を題材にした『イチケイのカラス』。はたまた医療ドラマでも同様な“放射線科”を題材にした『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』があったように、そうしたイメージしづらい職業を(かなり)わかりやすく噛み砕いてドラマにするというのはいかにもフジテレビドラマらしい。

 刑事の白熊楓(杏)は、捜査中に犯人を取り逃すという失態を犯し、公正取引委員会審査局第六審査に左遷される。初日から入札談合の疑いがある大手建設会社の立入検査に立ち会った楓は、東大主席卒業の風変わりな審査官・小勝負勉(坂口健太郎)と出会う。そして新たな案件として栃木県のホテル間で行われているウエディング費用のカルテル疑惑の調査に動き出す第六審査。楓は小勝負と共に現地へ向かうことになるのだ。

 そもそも論として、刑事が公取委に左遷されることがあるのだろうかという疑問は抱かずにはいられないのだが、それは一旦置いておくとしよう。前クールの月9『元彼の遺言状』と同じく新川帆立が原作で(しかも昨年末に発表された新しい小説で、ドラマの撮影は今年の早い段階から始まっているというスピード感ある映像化だ)、そこでは楓の設定は警察学校を中退して公取委に入り、サポートで就いた聴取の対象者が自殺したことで配置換えになるというものであった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる