『シン・ウルトラマン』メフィラスからなぜ目が離せないのか 山本耕史が持つ魅力から分析

『シン・ウルトラマン』山本耕史の魅力

 『シン・ウルトラマン』が公開2週目で早くも累計動員134万人、興収20億円を突破する大ヒットを遂げている。本作は全体的には好評の反面、さまざまな細かなポイントで賛否両論も呼んでいるが、満場一致で絶賛されていることがある。それは、宇宙人(劇中では「外星人」)のメフィラスを演じた山本耕史だ。

 詳しくは本編を観てほしいのだが、「本心を話しているんだろうけどぜんぜん信用ならない」「人間に溶け込もうとしているけど人外の雰囲気を放ち続ける」「丁寧を通り越して慇懃無礼な態度を取り続けていてうさんくさい」「それなのに魅力的」というキャラクターを、山本は完璧に体現していた。なぜメフィラスがこんなにも目が離せない存在なのか。山本が持つ魅力から分析していこう。

山本耕史が持つ「異質感」

 山本の魅力は、失礼な表現かもしれないが、ひとえに“異質感”にあるのではないだろうか。眉毛はキリッと鋭く、耳が大きく、普通に佇んでいる時もうっすら微笑んでいるように見える。そのルックスからして“ただならぬ”雰囲気があるのだ。

 その時点で『シン・ウルトラマン』の人間に擬態している宇宙人・メフィラス役にマッチしているというわけだが、一方で山本は『それでもボクはやってない』のような「言動はちょっとバカだけど真剣に問題に向き合ってくれる親友」という、対照的な役にもハマっていたりもする。

 演じている多くの役で先行するのは、“信用ならない不穏さ”だ。悪い言い方をすれば軽薄な印象だったりもするのだが、言語化がしにくい“それだけじゃない”魅力をも放っている。それこそが各キャラクターにマッチしているので、どうしても好きにならざるを得ない、ということではないだろうか。

 山本に「どこにでもいる普通の人」なんて役柄は似合わないだろう。どこか欠落を抱えていたり、天才肌であったり、過剰にデフォルメした役柄でこそ、その個性が活きるのではないだろうか。

筋肉量や自信をも武器にする

 山本は筋トレマニアとしても有名であり、その常人離れした体つきも異質感に寄与していると言える。肌を見せていない時もそこはかとない威圧感がある。思い切り筋肉を見せたりもするシュールなミニコントが展開するサントリーの「澄みわたる梅酒」のCMでは、良い意味で狂気的な姿も披露している。

 現在劇場公開中の『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』では、その筋肉量を活かしたムキムキの軍人に扮しており、そのなりきりぶりには笑ってしまう(実際にギャグキャラクターでもある)。それと同時に、マンガ的な人間離れしたキャラを見事に体現しているさまには大きな感動もあった。

 何より、山本は俳優としてのキャリアが長い。0歳の頃から赤ちゃんモデルとして活動し、10歳の時には『レ・ミゼラブル』で少年革命家役として舞台デビュー。現在もドラマや映画の第一線で活躍している。そのためというべきか、本人が俳優として揺るがない信念を持ち、自分の特性を完全に理解していることも、演じているキャラクターから感じ取れる。“自信”こそを自らの力として発揮するタイプの俳優と言えるのではないか。

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