『空白を満たしなさい』鈴木杏の作り笑いが切なすぎる 阿部サダヲの狂気はさらに加速

『空白を満たしなさい』鈴木杏の好演

 柄本佑が主演を務めるドラマ『空白を満たしなさい』(NHK総合)が第2話を迎えた。

 3年前に亡くなった徹生(柄本佑)が突如「復生者」として生き返り、なぜ自分は死んだのかの答えを探していく本作。第1話では復生者として蘇った徹生に動転する妻・千佳(鈴木杏)の複雑な心境、そして徹生の死に大きく関わってくる謎の人物・佐伯(阿部サダヲ)の不気味さをありありと映し出した強烈な幕開けとなった。

 第2話では復生者に対する差別にも近い世間の冷たい態度、疎外感を徹生が肌身で実感していく様子を描きながら、徹生が亡くなってからの空白の3年間に千佳が佐伯から受けていた嫌がらせが明かされることとなる。第1話の最大の山場である徹生と佐伯が車中2人きりになるシーンのラスト。そこで佐伯は「あなたの奥さんの遺伝子と私の遺伝子を結合させてくださいよ」という変態的な言葉を言い放った。その一言がトリガーとなり、徹生は佐伯を絞め殺そうとする。生前のぼやけた記憶に自分は佐伯を殺していたのではないかと悶々としていた徹生に飛び込んできたのが、千佳が佐伯から執拗なハラスメントを受けていたということだ。

 千佳が佐伯と会っていたのは2回。まだ徹生の死を受け止めきれていなかった時、少しでも夫のことを知ろうと千佳が頼ったのが佐伯だった。徹生の時と同じように、佐伯は千佳の心の弱みに付け込み、家族の前では見せていなかった徹生の会社での“裏の顔”を話しながら、「生きることに殺された」「家族が重荷だった」「幸せの奴隷だった」と徹生が自殺を図ったのはまるで千佳に責任があるかのように、彼女自身までをも追い詰めていく。ファミレスのガラス越しに映る歪んだ佐伯からの、「やめろ!」とテーブルを叩き我に返る徹生の流れに思わず息を呑む。

 次に佐伯が千佳に接近してきたのは徹生の墓参りでのこと。佐伯は自分が経営するというデリバリーヘルスを紹介するのだ。千佳は「私は……今でも何でも夫に相談します。私たちのことは2人で話し合って決めます。夫はあなたの意見に反対すると思います。私もそう思います」と夫の声が聞こえると主張するが、その言葉が逆に千佳の迷いを露呈してしまっている。

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