『空白を満たしなさい』鈴木杏の作り笑いが切なすぎる 阿部サダヲの狂気はさらに加速
徹生が亡くなり、これから幼い息子を一人で育てていかなければならない。そんな家計の苦しい千佳の立場を把握し、佐伯は性風俗サービスを勧めてきた。「拒んで当然だって思ってほしくない」ーーそう言って、千佳は徹生に違ったタイミング、言い方、人に言われていたら、そして徹生が戻ってこなかったら、その道に手を伸ばしていたかもしれないと話す。
「だって……生きなきゃいけないでしょ?」
その言葉と一緒に千佳は無理をした作り笑いを徹生に向ける。何も言えずに俯き涙する徹生。そこには徹生が到底想像できていなかった苦労と葛藤がギチギチにひしめき合っている。千佳にとって唯一の生きる希望は息子の璃久(斉藤拓弥)だけだった。暗い子に育てたくない、その一心で千佳は頑張って笑うように徹していたのだ。この告白によって、これまでの千佳の表情の見方、さらに鈴木杏の演技がより一層深みを持つ。
1週間の放送休止を挟んで、7月16日にオンエアとなる第3回では、徹生が日本中の復生者たちが集う「復生者の会総会」に出席する。木下(藤森慎吾)など、新たな出演キャストが続々と登場する中で、徹生はついに死の真相を知ることになる。
■放送情報
『空白を満たしなさい』【全5回】
NHK総合にて、毎週土曜22:00〜22:49放送
出演:柄本佑、鈴木杏、萩原聖人、渡辺いっけい、うじきつよし、藤森慎吾、ブレーク・クロフォード、風吹ジュン、阿部サダヲほか
原作: 平野啓一郎『空白を満たしなさい』
脚本:高田亮
音楽:清水靖晃
制作統括:勝田夏子(NHKエンタープライズ)、落合将(NHK)
演出:柴田岳志(NHKエンタープライズ)、黛りんたろう
写真提供=NHK