又吉直樹が描く“おかしみ”が寄り添う WOWOWドラマ『椅子』で触れる、笑いの多様性

又吉直樹が描く“おかしみ”が寄り添う『椅子』

 お笑いの中では、悲しみや怒り、絶望といったマイナスの感情や状況が描かれることも多い。コンプレックスを笑いに変える表現は難しい時代となっているが、他者に笑ってもらえること、自分自身が笑えたことで救われる瞬間もある。普通とは違っている様子にこみ上げる笑いを“おかしみ”と呼ぶが、悲しいけれど、辛いけれど、恥ずかしいけれど笑ってしまうし、なんだったら笑ってもらいたい。そんな気持ちになった経験は誰しもあるだろう。人それぞれの生き様やそれぞれの心の中に安心感を与えながら、“おかしみ”は寄り添っていく。だからこそ、芸人たちはそういったものを笑いとして昇華するのかもしれない。

 今作は芝居を重視した演出によって、物語のシリアスさや異様さ、刹那的な情緒が色濃く描かれた内容となっている。だが、もし同じ台本でお笑い芸人が演じたら? オンタイムで本作を楽しんだあとは、そんな視点で見直してみるのも楽しいかもしれない。それほどに又吉が描く悲しみや滑稽さには、多様性が含まれている。

参考

https://casabrutus.com/posts/304021

WOWOWオリジナルドラマ 椅子/プロモーション映像(120秒)【WOWOW】

椅子と女性の人生を重ねて描く異色のオムニバスドラマ
『椅子』の見どころを徹底解説!

芸人、そして作家として活躍する又吉直樹の無類の“椅子”好きが転じて、書き下ろしストーリーにてドラマ化が実現。オムニバスドラマ『W…

■作品情報
『WOWOWオリジナルドラマ 椅子』(全8話)
WOWOWプライム、WOWOWオンデマンドにて毎週金曜23:30〜放送・配信
※WOWOWオンデマンドでは無料トライアル実施中
出演:吉岡里帆、モトーラ世理奈、石橋菜津美、黒木華ほか
作:又吉直樹
企画・プロデュース:射場好昭
椅子監修:萩原健太郎
監督:松原弘志、長澤佳也
プロデューサー:小川直彦、長澤佳也、松原弘志
制作協力:TBSスパークル
製作著作:WOWOW

<各話タイトル>
※()内は登場する椅子
第1話「電球を替えたい」(No.14)
第2話「最高の日々」(スツール60)
主演:吉岡里帆

第3話「海へ」(ラ・シェーズ)
第4話「オモイデ」(Yチェア)
主演:モトーラ世理奈

第5話「まぼろしの」(ルイ・ゴースト)
第6話「雨が降っている」(ネイビーチェア)
主演:石橋菜津美

第7話「人間達の声がする」(Aチェア)
第8話「椅子を取りに行く」(アリンコチェア)
主演:黒木華

公式サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/isu/

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