高橋一生が最後まで信じ続けた“自分の正義” 『インビジブル』最終回は続編も期待の結末に

『インビジブル』最終回で貫かれた正義

「俺は自分の正義を信じてる」

 この言葉通り、刑事・志村貴文(高橋一生)は史上最悪のクリミナルズ「リーパー」である監察官・猿渡(桐谷健太)の狂気を見事封じ込めた。『インビジブル』(TBS系)最終話では、猿渡のもう救いようのない心の闇深さ、サイコパスぶりが炸裂した。

 キリヒト(永山絢斗)に近づいたのは自分が“インビジブル”になるためだったと言い、安野(平埜生成)を殺害したのは自身の殺人現場を目撃されたから。そして志村に執着したのは、目の前で安野を殺された時の志村の表情が「愛おしくってたまらなかった」と言う。

 その際の猿渡の恍惚とした表情は、本当にもう引き返せないところに彼がいることをはっきり物語る。シンプルに猿渡が狂いすぎている。志村の絶望する顔が大好物だと言い、キリコ(柴咲コウ)もそんな猿渡のことを「あの男には悪意がない」とした。

「人を殺すことは悪いことだと微塵も思ってない。むしろ楽しんでる。平気で嘘をついて人を欺く、だから人の心を操れる。キリヒトもあいつにコントロールされてた」

 人の面を被った化け物だ。凶悪犯罪者について常々不思議に思うのは、彼らはどうしてその狂気性を自分自身には向けずに他人にばかり発動するのだろうか。人様の命をモノのように扱い、自分に命の選別ができるかのように錯覚している。常に自分は“選ぶ側”“操る側”にいると思い込んでいるが、その「選民意識」は一体どこから来るのか。

 結局、暗殺依頼サイトで懸賞金をかけクリミナルズを意のままに操ったつもりでも、その依頼をキャンセルし、より良い条件を提示すれば彼らは簡単に手の平を返す。暗殺依頼サイト上でだけの繋がりがいかに希薄で脆弱なものか思い知らされる。

 そして、周りの人間のことを“無能”だと見くびりすぎたがために、実際にはキリコを連れ戻すためにバディを組む前から志村からは疑いの目を向けられていたことにも気づかず、磯ヶ谷(有岡大貴/Hey! Say! JUMP)や五十嵐(堀田茜)の作戦も見抜けず、まんまと別宅におびき寄せられる。

 「いくら賢くてもどんなに孤独になっても人の心を見ようとしなきゃダメなんだよ」とはキリコがキリヒトに言った言葉だが、“人の心”を感じたり共鳴し合ったり寄り添ったりするものではなく、“掌握し操るもの”“意のままに動かすもの”としか捉えられない猿渡の目に映る世界は一体何色だったのだろうか。そんな無機質でモノグラムな世界しか知らない猿渡をある意味不憫にも思う。

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