綾瀬はるか×大泉洋のバディが“本当の意味”で成立 『元彼の遺言状』見応えのある法廷劇

『元彼の遺言状』見応えある法廷劇

 篠田こと田中守(大泉洋)を被告とした、十ヶ浜強盗殺人事件の裁判員裁判が開廷する。弁護側の証人を務めるはずだった高瀬(東根作寿英)が亡くなったことで雲行きが怪しくなった麗子(綾瀬はるか)。検察は数多くの証拠品を揃え、証言台に立った住民たちは次々と篠田に不利な証言をしていく。そんななか、麗子は事件当日に篠田がどのように店から港へと逃げたのか気になるのだが、篠田はなぜかポケットに小銭があり、タクシーに乗ったのだと語る。そして裁判では、店の従業員だった美月(成海璃子)が証言台へと上がるのである。

 6月13日に放送された『元彼の遺言状』(フジテレビ系)第10話は大方の予想通り、アガサ・クリスティーの『検察側の証人』をフックにして、同じクリスティーの名作『オリエント急行の殺人』へと帰結する。とはいえ今回のエピソードのかなり序盤の段階に『検察側の証人』の文庫本の後ろから『オリエント急行の殺人』の文庫本が見えることで、その転換が待ち受けていることが速やかに明示されるあたり、これまでとは趣が異なっている。つまりは誰もがよく知る“事件の真相”に向かうのだということが、『検察側の証人』を匂わせる前から堂々と宣言されていたというわけだ。

 エピソード前半部分は驚くほど淡々とした法廷劇が展開していく。証言台に美月が立ち、篠田の弁護人である麗子が彼女に質問をしていく流れをこの『検察側の証人』的法廷劇のハイライトとし、彼女が隠していることを公のものにしていく。

「裁判とは真実を述べるべき場所。誰かが嘘をついたら真実に辿り着くことはとても難しくなります。でも諦めてはいけない。何故なら、その真実には一人の人間の人生がかかっているから」

 麗子の熱の入った演説も含め、いかにもドラマ的な法廷描写であったとはいえ、その見応えはなかなかのものだ。

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