カマラ・カーンがパワーを得る“バングル”の秘密とは? 『ミズ・マーベル』第1話レビュー

『ミズ・マーベル』第1話レビュー

 第1話はヒーロー好きのオタク少女の奮闘記が描かれ、とても微笑ましく楽しいエピソードで幕をあけました。僕がちょっと嬉しかったのは、アベンジャーズがヒーローとして称えられているという描写です。というのも今までのMCUドラマでは「果たしてアベンジャーズのしたことは本当に正しかったのか?」的なシビアな視点が盛り込まれていました。しかし本作はヒーローを愛するカマラの視点。なのでアベンジャーズが気持ちよく肯定されているわけですね。なおゲーム版のアベンジャーズでも、やはりカマラがアベンジャーズのファン・イベントに参加してそこで起こったハプニングで能力を身に付けるという展開になっています。

 気になるのは(そしてこれがこの先のドラマ展開に大きく影響していくわけですが)カマラはなぜパワーを授かったのか? そしてバングルに隠された秘密とは? です。先ほど書いたように、コミックでは彼女の中に超人族インヒューマンズの遺伝子があり、それが「テリジェン・ミスト」という不思議な霧によって能力が覚醒する、という設定なのです。しかしドラマ版ではバングルがカマラに力を与えます。ここで考えられる可能性は2つあります。(1)あのバングルを装着したら誰でも超人になれる、もしくは(2)バングルを装着したのがカマラだったから超人になれた、の2つです。恐らく後者だと思います。そしてこのバングルが祖母に由来するものだとすれば、カマラの一族は超人になる素質を受け継いだ家系ということになります。ここでポイントになるのはカマラの母の態度です。とてもカマラに厳しいのは単に娘への躾なのか、それともカマラが超人化する可能性があることを知っていて、それを食い止めるためなのか? なんとなく、これも後者ではないでしょうか?

 では、カマラが元々超人になる素質を持っていたとして、それはインヒューマンズに由来するものなのか? 言い方を変えればインヒューマンズの存在が描かれるのか? その可能性もなくはないです。直近の映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』で、別バースにいるインヒューマンズのリーダー、ブラックボルトが登場しました。声で相手を破壊してしまう人物です。あえてブラックボルトを出したことはMCUがこの先インヒューマンズをまた推していくという意志表明にも感じました。

 その一方で注目して欲しいのは、バングルに描かれている紋章が、映画『キャプテン・マーベル』のクリー人(エイリアン)の紋章に似ています。そう考えるとカマラの血筋はクリー人に繋がるのでしょうか? そもそもインヒューマンズもクリー人によって生み出されたので、その可能性は高いでしょう。ドラマ版のミズ・マーベルは、事実上の映画『キャプテン・マーベル』の続編である、『ザ・マーベルズ』(2023年7月28日公開予定)に出演することが決まっているので、インヒューマンズ設定を使わず、クリー人由来のスーパーパワーなのかもしれません。そもそもコミックと違い、肉体を自由に変えるというより、不思議なクリスタル状のエネルギーを発生させ、その形を変える、という風にスーパーパワーの描き方も少しアレンジされていますからね。コミックを知っている人はコミックとの違いも楽しめるかもしれません。

 イケてない高校生がふとしたことで超人となる……なんとなくスパイダーマンと似た雰囲気ですが、第1話のエンド・クレジットの途中で挿入される、おまけシーンにもご注目。アベンジャーズ・コンでの騒ぎが動画に撮られ、ネットで拡散。それに気づいた当局らしき、髭面のエージェントが「カマラを探して捕まえろ」という。この髭面のエージェント、どこかで見覚えありませんか? そう、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でピーターたちを尋問するダメージ・コントロール局のクレイアリー連邦捜査官(アリアン・モーエイド)です。ここでスパイダーマンとつながるとは! 第1話でもこれだけの盛り上がり。あと5回が楽しみです! それにしてもカマラ役のイマン・ヴェラーニ、本当にキュートですね!

■配信情報
『ミズ・マーベル』
ディズニープラスにて、毎週水曜日16:00より独占配信中
監督:アディル・エル・アルビ、ビラル・ファラー、シャルミーン・ウベード=チナーイ、ミーラ・メノン
脚本:ビシャ・K・アリ
出演:イマン・ヴェラーニ、マット・リンツ、アラミス・ナイト
(c)2022 Marvel

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる