神尾楓珠が吉田玲子脚本のSFドラマにハマる 『17才の帝国』は代表作になるか?

神尾楓珠『17才の帝国』は代表作になるか?

 現在23才の神尾は、2015年に『24時間テレビ』のドラマスペシャル『母さん、俺は大丈夫』(日本テレビ系)で俳優デビュー。筆者が初めて注目したのは、2017年の『監獄のお姫さま』(TBS系)での小泉今日子が演じる主人公の息子を演じたとき。刑務所から出てきた母親に優しく接する場面での自然な演技が印象に残った。その後、『アンナチュラル』(2018年/TBS系)では、同級生からいじめられる高校生を演じ、インパクトを残した。ちなみにこのドラマでは『17才の帝国』に出演している望月歩と共演している。その後、学園ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(2019年/日本テレビ系)や『都立水商!~令和~』(2019年/MBS・TBS)でも高校生の一員を演じたと思えば、いきなり『顔だけ先生』(2021年/東海テレビ・フジテレビ系)では真逆の教師役、『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年/カンテレ・フジテレビ系)では転職してしまう若き建築士と、ここ数年、高校生役と社会人役を交互に演じている。

 映画の出演作も多く、公開中の『20歳のソウル』では、実在した人物の高校時代から大学時代を熱演。作曲家になるという夢を抱き、自分の理想を追い求め、同級生たちを感化させていくピュアな主人公像は、『17才の帝国』とも通じる。後半、重い病気にかかり過酷な運命に立ち向かいながらも、時に弱音を吐いて涙する。そんな感情のアップダウンをストレートに表現している。

『ナンバMG5』第8話より (c)フジテレビ
先生のおとりよせ
『先生のおとりよせ』(c)(c)AN,YE(L)/TX

 現在、『17才の帝国』だけでなく、間宮祥太朗主演の『ナンバMG5』(フジテレビ系)、金髪のロングカールヘアがインパクト大の『先生のおとりよせ』(テレビ東京系)にも出演中。神尾の良さは、ドラマのタイトルにもあったように国宝級と言われる“顔だけ”だけではなく、何より性格の素直さにある。筆者もインタビューしたことがあるが、映画とドラマで年に5作品以上、撮影に入っている状況でも、ひとつひとつの作品についてじっくり考え、真正面からアプローチしているのが印象的だった。今の段階で演技のテクニックがすごくあるとか、演出家が想像もしないような芝居をするという感じではないだろうが、どの役にも素直に向き合っているだけに、今後どんどん成長していきそうだ。

 目指す先輩は『3年A組』で共演した菅田将暉だというコメントも。だとすれば、今後のキャリアに必要なのは『17才の帝国』で頂点に達した美形イメージを裏切るような役柄だろう。コミュ障気味の大学生を演じる新作映画『恋は光』(6月17日公開)はその第一歩になりそうで、今後の展開も楽しみだ。

参照

※ https://realsound.jp/movie/2022/01/post-945049.html

■放送情報
『17才の帝国』
NHK総合にて、毎週土曜22:00~放送(全5回)
出演:神尾楓珠、山田杏奈、河合優実、望月歩、染谷将太、星野源ほか
作:吉田玲子
制作統括:訓覇圭
プロデューサー:佐野亜裕美
演出:西村武五郎、桑野智宏
写真提供=NHK

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