『ちいかわ』原作は“飢餓編”スタートで共食い描写も ひたすらに平穏なアニメ版との対比
Twitter発の漫画『ちいかわ』のTVアニメが、2022年4月から朝の情報番組『めざましテレビ』(フジテレビ系)内で、毎週金曜日7時40分頃に放送されている。本作は、原作者であるクリエイター・ナガノの「こういうふうになってくらしたい」という願望から生まれた「なんか小さくてかわいいやつ」、通称“ちいかわ”たちが繰り広げるファンタジーだ。
子役の青木遥と田中誠人が声をあてた主人公のちいかわと友人のハチワレ、さらに『月刊少女野崎くん』の佐倉千代役で知られる声優・小澤亜李が演じるうさぎ。まるいフォルムとうるうるな瞳がなんともいじらしい彼らの、ほのぼのとした日常がお茶の間を癒している。アニメだけを観ていると子ども向けの作品に思えるが、意外にも原作は大人から支持を集めているのをご存知だろうか。
2020年1月に開設された公式Twitterで日々更新されている『ちいかわ』。もともとはアニメで放送されているように、主にちいかわとうさぎの戯れを描いた1投稿完結の漫画が投稿されていた。しかし、人間の言葉を喋るハチワレが登場して以降、ちいかわとハチワレが友情を育む中で徐々にストーリー性を帯びていく。
— ちいかわ💫アニメ金曜 (@ngnchiikawa) June 5, 2020
一緒にいろんな体験をしたい。相手にプレゼントしてあげたい。そんな気持ちを抱き始めた2人が向かうのは「労働」。草むしりや謎の怪物キメラの討伐などがラインナップされている日雇い労働で時に危険をおかしたり、資格取得に勤しんだりと、ちいかわたちは“給料とキャリアアップ”を目指すように。ファンタジーとは思えない、あまりにも現実的でハードな設定と愛くるしいビジュアルとのギャップが大人の読者に受けている。また物語の至るところに伏線と思われる描写が散りばめられており、SNSでは「人類の文明が崩壊した後の“ディストピア”が舞台なのでは?」「キメラは元々、ちいかわたちの仲間だったのかも」という考察まで飛び交っているのだ。
以前、インタビューで「淡々とした雰囲気の中にドキドキ感がある童話や絵本」をルーツに挙げていたナガノ。(※)またお腹を空かせたメスのカマキリが交尾中のオスを食べてしまう習性を持つように、生き物ならではの容赦のなさを描きたい気持ちがあるとも答えている。実際にナガノが自身のTwitterに「もぐらコロッケの味」のタイトルで投稿した一連の漫画では、コロッケに足が生えたようなキャラクターが仲間の頭をかじってしまう場面も。