『17才の帝国』破格のSFドラマはいかにして作られたのか 訓覇圭×佐野亜裕美に聞く
若者に少しでも政治に興味を持ってほしい
――全5話で終わってしまうのが、もったいないですよね。これだけ精密に町を作ってしまったら、存在するのと同じなので。魅力的な設定を作るとアニメは長く展開するのですが、ドラマはどうしても使い潰してしまうところがあるので、シーズン2も観たいです。
訓覇:今回、やればやるほど良い設定だなぁと思って。設定を見せているところもあるので「5話か……」というのは、本当に感じましたね。
佐野:吉田さんの脚本は前提ですけれど、全く違うキャストと違うスタッフで作っても面白いかもしれないですよね。
――他の住民がどういうふうにあの街で暮らしているのかも観たいですし。
佐野:「『17才の帝国』住民編」みたいな。いくらでもスピンオフは作れますよね。
――作品の反響は、いかがですか?
訓覇:観ていただいた方には好評で、社内でも喜んでもらえているのですが、正直もっともっとたくさんの人に観ていただきたいです。挑戦した部分が多いので、どれくらいの人が面白いと思い、どれくらいの人が「なんだかなぁ」と思っているのかを知りたいと切に思います。
佐野:連ドラはほとんど観ないけどこれは面白い!と言ってくださる方もいますし、一方でこれまで自分が関わってきたドラマが好きな人からは「思っていたのと違う」「もっと芝居が観たかった」といった批判的な意見もいただくんですよね。自分たちが傑作だと思っても受け入れてもらえなかったり、「うまくいかなかったなぁ」という回がすごく評価されたりってことがあるので。私たちもまったく仕上がりが予想できないまま作り始めたので、この作品が最終的にどう受け止められるかは未知数ですね。
――最初は若者vs大人みたいな話になるのかなと思っていたので、どちらに向かっても政治的主張としては「危なっかしなぁ」と心配していたのですが、双方に理があるという書き方になっているので、どういう結末になるのか注目しています。
佐野:危なっかしいドラマであることは間違いないですし、最後まで危なっかしいまま終わると思うのですが、そもそも私は色々なドラマがあって色々な楽しみ方があった方が良いと思っています。吉田さんと若者に少しでも政治に興味を持ってほしいと話したところからスタートしていますので、選挙も近いですし、少しでも観てもらいたいですね。
――最後に5月28日に放送となる第4話の見どころを教えてください。
訓覇:第1~2話でやりたかった世界を一つ提示した後、第3話で白井雪の話が動き出すのですが、第4~5話はアニメっぽくなります。
――本当ですか? 第3話はすごくドラマっぽくなったので意外です。
佐野:そこから第4話は一気に飛んで、最後は誰も想像していなかったような結末になります。その飛躍を楽しんでいただけたら嬉しいです。
■放送情報
『17才の帝国』
NHK総合にて、毎週土曜22:00〜放送(全5回)
出演:神尾楓珠、山田杏奈、河合優実、望月歩、染谷将太、星野源ほか
作:吉田玲子
制作統括:訓覇圭
プロデューサー:佐野亜裕美
演出:西村武五郎、桑野智宏
写真提供=NHK