二宮和也と視聴者を翻弄する 『マイファミリー』物語の妙は“山脈型の仕掛け”?

『マイファミリー』カギは“山脈型の仕掛け”

 二宮和也が主演を務める日曜劇場『マイファミリー』(TBS系)が、ドラマ界に新たな息吹をもたらしているーー。

 『半沢直樹』(TBS系)や『ドラゴン桜』(TBS系)など、骨太の大ヒットドラマを多く生み出した伝統の“日曜劇場”枠で、現在第6話まで放送中の本作。タイトルから察して“単なるファミリードラマだ”と思っているなら大間違い。序盤から他作品とは一線を画すギミックを用意して、視聴者を驚かせているのだ。

 物語は、ゲーム会社の社長・鳴沢温人(二宮和也)と妻の未知留(多部未華子)の娘・友果(大島美優)が誘拐されたところから始まる。冷めきった関係だった2人が、大学時代の親友である東堂樹生(濱田岳)や三輪碧(賀来賢人)の力を借りて、警察排除と5億円を要求する犯人と交渉。一度は頼った警察すらも欺き、娘を取り戻すべく奮闘していく。

 初回を観終わったあと、ほとんどの視聴者が「犯人の無理難題を鳴沢夫妻が次々とクリアしていき、最終話には、娘を取り戻せるかどうか。果たして、壊れかけていた家族は再生できるのか?」といった展開を思い描いていたことだろう。しかし、潮目が変わったのは、2話が終了し、3話の次回予告が放送されたときだった。

「誘拐事件完結!」

 このテロップには誰もが目を疑った。翌週、その予告通り、友果が無事に生還。その代わり、新たに、三輪の娘・優月(山崎莉里那)がターゲットとなってしまう。

 そう。物語の核は「鳴沢家の誘拐事件」ではなかったのだ。そもそも、我々はドラマが始まる前から騙されていたのかもしれない。『マイファミリー』というタイトルや番宣も相まって「鳴沢家の誘拐事件がメイン」とミスリードをされ、うまく転がされてしまっただけ。この展開は予想できなかったし、これまで出会ったどの“どんでん返し”作品よりも、ファーストインパクトの強烈さはピカイチだった。

 では、鳴沢家誘拐事件解決以降、物語はどうなったのか? 警察に頼らず優月を助けたあと、阿久津晃(松本幸四郎)の娘・実咲(凛美)の誘拐交渉人として犯人に指名され、またも事件に巻きこまれていく温人。彼は、犯人から「私たちは完全誘拐を実現するファミリーです」と言われ、絶望の淵に突き落とされる。最新話の第6話では、実咲と引き換えに10億円を要求され、秘密裏に交渉。温人は、犯人を目撃したが……という展開だった。無論、共犯者がいる可能性は高いが、実行犯が明らかに! しつこいようだが、この時点で第6話である。後半戦が始まったばかりだと言ってもいい話数で、すでに何度も山場を迎えているのだ。

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