二宮和也と視聴者を翻弄する 『マイファミリー』物語の妙は“山脈型の仕掛け”?

『マイファミリー』カギは“山脈型の仕掛け”

 2019年放送のドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)以降、事件ものには、なくてはならなくなった考察要素。『マイファミリー』も、SNS上で考察合戦が過熱しているが、そんな考察する視聴者の中には、誘拐犯を当てたい欲求と、“スカッと騙されたい”という欲求が入り混じっている人が多いように思う。その点では、何度も裏切られる本作はうってつけ。視聴者巻き込み型ドラマの筆頭として、君臨し続けることに成功している。

 もちろん、こうした仕掛け“だけ”にこだわっているわけではない。1話ずつじっくり観てみると、名作ドラマの定石である伏線の数々、手に汗握る展開、必ず次が観たくなるラスト、胸に刺さる台詞など、毎話丁寧に描いている。二宮をはじめとした名優たちの演技もあって、心を震わせるシーンが多いのが印象的だ。

 これは、ドラマ『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)や、『らせんの迷宮〜DNA科学捜査〜』(テレビ東京系)から、映画『キングダム2 遥かなる大地へ』(7月15日公開)、劇場アニメ『ONE PIECE FILM RED』(8月6日公開)まで、ジャンルや媒体にとらわれない脚本を手がける黒岩勉の技術と経験があってこそ。黒岩の描く人間模様や家族愛にプラスし、演出や宣伝側がサプライズを施すことで、“2022年式の日曜劇場”にアップデートされているのだ。

 一つの物語で大きな山場を作るのではなく、数話ずつで山場を作っていく山脈型の仕掛けを打ち出してきた『マイファミリー』。この山脈を制覇したそのとき、目の前には、どんな景色が広がっているのだろうか?

■放送情報
日曜劇場『マイファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、濱田岳、玉木宏
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
音楽:大間々昂
主題歌:Uru「それを愛と呼ぶなら」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS

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