『金田一少年の事件簿』道枝駿佑も原作を完璧に再現 “流れ”を断ち切らない見事な前後編

『金田一』見事な後編の解決編

 かつて“特攻の島”だった聖恋島で、ひっきりなしに鳴り響く不気味なセイレーンの哭き声の正体を見つけた一(道枝駿佑)。5月15日に放送された『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)第3話は、「聖恋島殺人事件・後編」。前回のエピソードでは原作と正反対の順番で殺人事件が起きるという大胆な脚色が目を引いたが、今回描かれるのは本来の“第一の殺人”と解決編。順番こそ違えど、一連のトリックを一が気付く過程も含めて完璧に再現したことはさすがである。

 ツアーの参加者が全員翌朝に島を離れることが決まる。それまでに事件の謎を解き明かしたい一は剣持(沢村一樹)と共に、すでに殺された2人の医師仲間である影尾(佃典彦)に話を聞くのだが、自分たちは腫瘍内科医なので誰かから恨みを買うことはなく心当たりもないと言う。しかしかつて影尾たちのいる帝王大学病院で働いていたツアーガイドの凪田(吉谷彩子)は、彼らが新薬の臨床実験を積極的に行い患者を死に至らしめたことがあるという事実を語る。その夜、舟着小屋で影尾が殺されているのが発見される。そしてその死体は、わずかの間にコテージに移動していたのである。

 2話またぎの前後編でひとつの事件が描かれるのは、『金田一』ドラマでは初代第1シリーズの頃から何度も繰り返されてきたことである。限られた登場人物の中にほぼ必ず犯人が存在しているタイプのミステリーである以上、いかにしてその人物関係をおさらいするかというのが、間隔のあいた前後編エピソードでは一つのドラマ構成上の課題となる(無論、改めてプレイバックさせずに進めても何ら問題はないのだが)。今回はタイトル明け直後に一が推理を整理するという体裁のもと、実にさりげなくその課題を解決する。“流れ”を断ち切らず、かつ説明くささもない非常に秀逸な方法といえよう。

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