『ラジエーションハウス』を劇場版として描いた意義 シネスコに映える“決めショット”

『ラジハ』を“劇場版”として描いた意義

 医療を必要とする人に必要な時に必要なだけ与えられるシステムを作っていかなければならないという極めてシンプルで重要な理想。それを複数トピックから一つの物語としてまとめあげるのは、“治療する”医師と患者の間に立って“見つける”技師の物語である『ラジエーションハウス』だからこそ、しっくりいくものに仕立てることができたのだろう。そう考えると、案外この映画は“THE MOVIE”系作品と同様、いわゆるフジテレビ映画らしい“大きなもの”を携えている作品とも見ることができる。それをあざとく感じさせないあたりはうまく現在の「劇場版」の流れに合わせたところだろうか。

 もうひとつ、作品の“見せ方”として『ラジエーションハウス』におけるシンボリックなショットがテレビからスクリーンに映ったことでより効果的になったことも触れておかねばならない。テレビの1.77:1の画面サイズではかなり引きのショットにせざるを得なかった、正面からデスクを映した画面。さながら森田芳光監督作『家族ゲーム』を思わせるような登場人物たちの横並びショットは、シネスコの2.39:1の画面サイズでも若干上下に余裕がみられるとはいえ収まりは格段に良くなる。さらに唯織を一番手前に配置して7人が奥に向かって並ぶ構図や、全員が集合して手前を見つめる画面も綺麗に映える。ドラマの第3期をやるならば、いっそシネスコ画面で放送してもおもしろいのではないだろうか。

■公開情報
『劇場版ラジエーションハウス』
全国公開中
出演:窪田正孝、本田翼、広瀬アリス、浜野謙太、丸山智己、矢野聖人、山口紗弥加、遠藤憲一、山崎育三郎、若月佑美、渋谷謙人、原日出子、高橋克実、キムラ緑子、鈴木伸之、八嶋智人、高嶋政宏、浅野和之、和久井映見
原作:『ラジエーションハウス』原作:横幕智裕、漫画:モリタイシ(グランドジャンプ/集英社)
監督:鈴木雅之
脚本:大北はるか
主題歌:MAN WITH A MISSION『More Than Words』(ソニー・ミュージックレコーズ)
配給:東宝
(c)2022横幕智裕・モリタイシ/集英社・映画「ラジエーションハウス」製作委員会
公式サイト:radiationhouse-movie.jp
公式Twitter:@radiation2_2021
公式Instagram:@radiha_radiha

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