三森すずこ「オーディションはいまだに緊張する」 悔しい日々の挑戦に感じるやりがい

三森すずこ、悔しい日々の挑戦にやりがい

 2021年、大きな話題をさらったオリジナルアニメ『オッドタクシー』のその後を描いた『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』が公開中だ。

 『オッドタクシー』は、中年タクシードライバー小戸川が、一癖ある登場人物を乗せる日常から大きな事件に巻き込まれていくさまを描いた作品。動物を擬人化したかわいい外見とは裏腹に、現代社会の闇を凝縮したような内容と、先読みできないスリリングな展開が評判を呼び、文化庁メディア芸術祭で新人賞を受賞するなど各方面で高い評価を獲得している。

 今回、作中に登場するアイドルグループ「ミステリーキッス」のセンター、二階堂ルイ役の三森すずこにインタビュー。本作の魅力と自身の役柄、そして声優としてのキャリアについても語ってもらった。(杉本穂高)

二階堂ルイは地に足ついた本当にいそうな子

――『オッドタクシー』は非常に個性的なテレビアニメでした。三森さんは本作の台本を読んだ時、どんな印象を持ちましたか?

三森すずこ(以下、三森):最初は、動物キャラが出てくる可愛いアニメかなと思っていたんですけど、台本を読んでみたら全然違いました。それに登場人物がとにかく多くて、文字のシナリオだけでは頭が追い付かなかったですね。

――三森さんが演じた二階堂ルイというキャラクターは、ご自身ではどんなキャラクターだと感じていますか?

三森:出世欲が強くてハングリー精神が旺盛で、誰よりも有名になってやるという力強さがある一方、恋愛では自分と真逆の人に恋していたり、リアルに存在していそうな人間味のある地に足のついた子だなと思いました。ルイは、自分の向上心に疲れている部分があるんだと思うんです。だからこそ、自分と真逆の人を恋愛では選んだのだと思うし、そういう部分が「この子は本当に生きているんだな」と感じさせてくれました。私自身は、他の人をどうこうしてまで這い上がろうとは思いませんが、向上心は強い方だと思いますし、この業界の人はみんなそうだと思うんです。だから、すごく共感できる部分もあります。

――ルイはオンとオフのギャップが強いキャラクターですね。

三森:裏表のある子なんですけど、私の中では、ルイは楽屋でマネージャーたちと話している時が表というか素の姿なんだと思います。ステージに立ち、ファンと触れ合っている時は自分の中のアイドルイメージを演じているというイメージで演じました。

――リアルで地に足ついたキャラクターだとのことでしたが、演じる際もリアルなしゃべり方を意識されたのでしょうか?

三森:そうですね。他の方たちもリアルなトーンで演じられていましたし、一人だけキャピキャピしてるのも変ですから。そもそもルイの本質はキャピキャピしていないので落ち着いたトーンで演じることを心がけました。

――本作の脚本は、既存のテレビアニメとは一味違うセリフが特徴です。11話では長いモノローグもあって大変だったのではないでしょうか?

三森:大変でした。台本開いたら、Aパートが丸々私の台詞で(笑)。4話で斉藤壮馬くんが一人語りするエピソードがあったので、もしかして私にもそういう回があるかもと思っていたら自分にも来たかという感じでしたね。

――本作のテレビシリーズはプレスコ収録だったんですよね。プレスコをやってみていかがでしたか?

三森:アフレコの場合は、映像が出来上がっていますから、そこを目指して言葉を発していくことになりますが、プレスコだった今回は、絵の動きは声に合わせて後から変えるので好きにやってくださいと言われました。これはこれで難しくて、どこに向かえばいいのか正解がないので、それが楽しくもあり難しくもありましたね。

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