『ブルーサーマル』主人公・つるたまの魅力を分析 堀田真由の名演&コミカルな動きに注目
3月4日よりアニメーション映画『ブルーサーマル』が公開された。YouTubeで広告が展開されているので、「作品名だけは聞いたことがある」という人や、実際に鑑賞した人も多いだろう。
『ブルーサーマル』は『月刊@コミックパンチ』(新潮社)で2015年から2017年まで連載されていた漫画が原作だ。体育会航空部を舞台に、大学生の青春を描いたストーリーとなっている。原作者である小沢かな自身が、大学在学時に体育会の航空部に在籍していた経験から、本作が誕生したそうだ。
そして企画発足から6年の歳月を経て、2022年3月に劇場アニメが公開された。アニメ制作はテレコム・アニメーションフィルムが担当。テレコムの代表作としては『ルパン三世』シリーズが挙げられる。また、監督は橘正紀が担当した。橘監督は、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門にて優秀賞を受賞した『東京マグニチュード8.0』で知られている。
主題歌はピアノロックバンドのSHE’Sの「Blue Thermal」だ。大空を舞台にした映画『ブルーサーマル』にふさわしい爽やかな楽曲となっている。それに加えて、挿入歌の「Beautiful Bird」も、聞いていて気持ちの良いメロディーだ。
都留たまきの魅力を紹介
『ブルーサーマル』には、魅力がいくつもある。その中でも最大の魅力はやはり、主人公の都留たまき(つるたまき)にあるだろう。「つるたま」のニックネームで親しまれる彼女は、典型的なおてんば娘キャラで、出身地の方言である長崎弁が特徴的なキャラクター。ドジな雰囲気も漂うが、グライダーにおける天才的な平衡感覚を持つというギャップが魅力だ。
たまきは、大学に通うために上京してすぐに航空部のグライダーを破壊してしまい、「グライダーを弁償する」という名目で航空部に雑用係として入部することになる。そこで「空を飛ぶこと」の魅力に取り憑かれてしまうのだ。
そして、映像を観ていると、たまきの動きだけ明らかに“特別”であることが分かる。他のキャラと比べても動きが非常に凝っていて、表情のレパートリーも多いのだ。そのおかげで、たまきのギャグシーンが良い仕上がりになる。筆者が鑑賞していた時も、館内で笑い声が聞こえるほどだった。
キャラクターデザインは、作品やキャラによって崩すか崩さないかが決まってくる。本作に登場するキャラの中だと、クール系の先輩キャラである倉持潤のキャラクターデザインはほとんど崩れず、終始落ち着いた雰囲気を醸し出していた。一方のたまきは、食事をしているシーンや驚いた時の表情など、頭身や表情が大きく崩れることが多い。だが、これによってコミカルな演出がやりやすくなっているのだ。