『カムカム』に本郷奏多が一皮むけて再登場 五十嵐とひなたの出会いと別れを振り返る

『カムカム』五十嵐とひなたの出会いと別れ

 懐かしい再会続きだった『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第21週最後に、なんとひなた(川栄李奈)と“文ちゃん”こと五十嵐(本郷奏多)の10年ぶりの突然の再会も描かれた。

 ハリウッド映画『サムライ・ベースボール』のオーディションが開かれるのに際して「立ち回りとかスタントとかできたら有利やから大部屋にもチャンスはある」と聞けば、ひなたの頭に真っ先に思い浮かぶのは今も変わらず五十嵐のこと。「あほやなぁ、あんたは。あともうちょっと我慢してたらスターになれたかもしれへんのに」と、夏祭りでもらった風鈴を取り出しながら想いを馳せたその男が、まさかのアクション監督の到着を待つ自分の前に現れたのだ。時代劇俳優の夢を諦め、ひなたとも別れを切り出した五十嵐は父親の会社を継ぐと言っていたが、一体この10年の間で彼の身に何があったのだろうか。錠一郎(オダギリジョー)が五十嵐に送った言葉「ひなたの道を歩めば人生は輝くよ」の“ひなたの道”を彼はアクション監督に見出したのだろうか。

 思い返せば2人の出会いは最悪だった。両親の留守番中に客としてやって来た五十嵐は、回転焼きが焼けないひなたを「もしかして焼いたことないの? 嘘だろ?」とバカにし、お釣りを受け取ると「ふ~ん、引き算はできるんだ」と嫌味を言って立ち去る。互いに第一印象は最悪だった2人にほどなくして再会の時がやって来る。ひなたが参加した「ミス条映コンテスト」の演技審査の侍役があの無愛想で嫌な男ともなれば、彼女は台本を完全に無視して「誰がお前なんかについていくか!」と叫び、相手の刀を抜いて一刀両断、五十嵐のことを斬り捨てるのだった。鮮烈すぎる再会だ。

 しかし同じく時代劇を愛してやまないひなたと五十嵐は最初はいがみ合いながらもいつしか互いに惹かれ合っていく。親からの反対を押し切り、一切の援助を受けずに来る日も来る日も未来のスターを夢見て完璧な“斬られ役”“死体役”を務めるべく鍛錬を怠らない五十嵐へのひなたの眼差しがどんどん変化していく。オーディションを控える五十嵐のために、これまで一度もトライしたことのない回転焼きを自分が焼いてあげたいと思うまでにひなたは自然と彼の夢を応援するようになる。

 だからこそ、切なかったのだ。2人の別れのシーンは。

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