『カムカム』アニーは一体何者なのか? 制作統括に聞く、森山良子キャスティングの理由
『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第102話にて、森山良子がアニー・ヒラカワとして本格登場した。
森山が演じるアニーは、ハリウッドで活躍するキャスティングディレクターで日系のアメリカ人。江戸時代の日本が舞台の映画『サムライベースボール』のロケハンのため、ハリウッドチームがひなた(川栄李奈)の勤める条映太秦映画村を訪れる。
視聴者の脳裏に浮かぶのは、このアニーは一体何者なのかということだろう。アニーはひなたが毎朝ラジオで英会話の番組を聴き英語を身につけたことを聞き、「まだ放送されてるの?」「なんていうか……古風なやり方だと思って」と反応。アニーが日本にやって来たのは今回が初めてだ。さらに、アニーが去り際に告げる「英語の勉強、これからも続けてください。きっとあなたをどこか、思いもよらない場所まで連れて行ってくれますよ」は、かつてロバート(村雨辰剛)が安子(上白石萌音)に向けたセリフと同じである。制作統括の堀之内礼二郎は取材会にて、アニーについてはあえて言及せず「自由に想像しながら22週以降も楽しんでいただければ」と含みを持たせた。
アニーを演じる森山は「涙そうそう」「さとうきび畑」といった代表曲を持つ誰もが知る国民的歌手。『金曜日の妻たちへIII 恋におちて』(TBS系)をはじめとしたドラマでも俳優として活躍はしているが、その本数は両手で数えられるほどだ。「視聴者の方々が初めて出会ったと感じられるような方に演じていただきたかった」と堀之内は語る。かつアニーの年齢設定は70歳くらい(森山は現在74歳)、英語がある程度堪能でなければならない。森山の父・久がジャズトランペッターであり、ルイ・アームストロングが来日した際に通訳兼コーディネーターを担当するほどに親交があったことをキャスティングした後に知られることになる。そんな『カムカム』との運命的な縁もあり、森山はアニー役のオファーに熱意を込めて「やってみたい」と快諾したのだった。
森山は今回の役のために英語のレッスンを重ねてきた。ただ、幼い頃から英語を耳で聴いていたことやジャズの発声法などもあり、英語の響きがネイティブのように聞こえたと堀之内は語る。さらに演技についても「『森山良子』がアニーを演じるのではなく、アニーという一人の別の人間になりきってくださっていました。扮装をまとった瞬間からアニーになっていて、外して森山良子さんになると明るくて楽しくて素敵なエンターテナーだったりして、その違いに魅せられました」と撮影エピソードも交え話してくれた。