『カムカム』るいと錠一郎の「サニーサイド」を想像するだけで涙 “驚きの女神”の正体は?
『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第101話は、ノストラダムスの大予言の訪れを恐れるひなた(川栄李奈)のもとに、一恵(三浦透子)が泣きながら駆け込んでくるところから始まる。
前回で離婚したすみれ(安達祐実)と寄り添う榊原(平埜生成)の姿を見た彼女は、「付き合っているのか」曖昧な関係についに答えが出てしまったのだと覚える。榊原の本命はずっとすみれで、自分はセカンドとしてキープされていたのかと……。すみれはすみれで酔っぱらいながら「榊原にしとけばよかった」なんて言うし、事態は一気に修羅場になろうと思えばなっていた。しかし、すみれがずっとあの蕎麦屋「うちいり」で飲んでいたお酒が、彼女の立ち位置をずっと表していたのだ。それは、「助太刀」。
結局、榊原は映画村が衰退の一途を辿るうえで、自分の未来も見えない状態だったから、一恵に毅然とした態度が取れなかったのだ。課長に就任したとはいえ、給料も施設の負担を考えると決して高くはないだろう。いつ仕事を失うかもわからない、そんな中で、立派なお茶の先生になった一恵に格好がつかないのである。それは、責任感が人一倍つよい真面目な榊原だからこその“優柔不断さ”だった。
しかし、すみれが二人の間を“助太刀”したことで、ずっと動かなかった関係が動き出す。
「毎日、一恵ちゃんが急須で淹れるお茶が飲みたい」
人の家で、背中に酔っ払った大女優を背負ってのプロポーズに、思わず一恵も泣きながら笑ってしまう。これまで片鱗を見せていた天然っぷりを発揮した榊原だが、そんな彼女を見て、「ええんや。一恵ちゃんが機嫌よう笑うてくれたらそれで」と言う。これは、いつかの日、一恵にすみれを思う気持ちを見抜かれた時に言ったセリフ「すみれさんが機嫌よう笑うてくれはったらそれで」の反復だ。この言葉だけでも、もう一恵が彼の中のナンバーワンであることがしっかり伝わるものだから、ニクい演出である。
さて、“助太刀将軍”ことすみれは、とはいえ少し自分の酒癖が人様の恋路に騒動を巻き起こしたことへの自覚や反省があるようで、酒を控えて、来るハリウッドの仕事に備えようとする。みんな、雨降って地固まるような回だった。