三谷幸喜作品に欠かせない存在・梶原善 『鎌倉殿の13人』善児役の底の見えない怖さ

梶原善『鎌倉殿の13人』で底の見えない怖さ

 また、「東京サンシャインボーイズ」で1993年に上演した舞台『ラヂオの時間』も1997年には三谷幸喜初監督作品として映画化もされている。舞台と映画では構成も若干異なり、出演者も同じではない場合もある。しかし、梶原善は舞台だけでなく映画でも同じ役柄を好演した。寡黙ながらも、ここぞというときに力になる腕利きの音効スタッフで、黙々と自分のやるべき任務を遂行するところは、『鎌倉殿の13人』で演じる善児に通じるところがある。もちろん、悪(闇)任務ではなく、ラジオ番組を作る有能なスタッフとしての役目ではあるが……。

 三谷作品の映画といえば、『記憶にございません!』で演じた主人公の黒田啓介(中井貴一)の幼なじみの建設会社社長・小野田治役も強烈な印象を残していた。「いるいる、こんなおじさん」という押しが強くて、何を言われても動じない人。登場するだけでコミカルな空気を作りだせる力があり、作品が変わると顔つきまで違って見えるほど、凄みを見せることができる。器用で多面的な魅力を持つ存在だからこそ、今回の善児の底の見えない怖さにつながるのだろう。

 物語が進むにつれ、善児がどんな役目を果たしていくのか、そこもこの作品の見どころとなっている。

■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK

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