『鎌倉殿の13人』江口のりこの台詞回しに滲む亀の情念 頼朝を取り巻く女性陣にも要注目

『鎌倉殿の13人』江口のりこの恐ろしさ

 八重に対し、自分の立場を見せつけることに成功した亀だが、その分、正妻と愛妾という立場の違いには不満を募らせる。りくから任された書物を政子の元へ届けた亀は、その書物をやや荒々しく机に置く。立ち去る際、その佇まいは少しだらしない。自身が正妻ではないことへの苛立ちやその感情を政子に当てつけているように見えた。それでも八重に対する仕打ちには満足がいったのか、政子に八重の様子を聞かれると、何事もなかったように「この数日、伏せっておりまして」「どこか悪くしたのでなければよいのですか」と答えて立ち去った。

 亀を演じる江口は、政子や八重に対してあからさまに態度を変えたり、感情をあらわにすることは決してない。だが、淡々とした口調のまま、じわじわと八重を追い詰めたことや八重や政子に向ける対抗心を燃やしているときの睨むような目つきから、亀の情念が滲み出ており、強烈な印象を残した。

 『鎌倉殿の13人』はコミカルなシーンもありながら、時に残酷でギョッとさせられるシーンもある。そんな中、頼朝を取り巻く女性たちの争いもまた、戦慄するほど恐ろしいことを思い知った。

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■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK

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