『平家物語』と『鎌倉殿の13人』で学ぶ平安時代 対比で浮かび上がる“盛者必衰”

『平家物語』と『鎌倉殿』で学ぶ平安時代

 今、平安時代を学ぶ絶好の機会なのかもしれない。

 毎週水曜24時55分よりフジテレビでオンエア中のアニメ『平家物語』。舞台は平安末期。栄華を極めようとしていたのは、平家一門だ。権力、武力、財力、あらゆるものを手にし、怖いものなどないように思われた。あるとき、亡者が見える目を持つ平重盛は、未来が見える目を持つ琵琶法師の少女・びわに出会う。彼女が口にした予言は「お前たちはじきに滅びる」。

 一方、今年、三谷幸喜脚本で注目を浴びているのが大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)だ。主人公は小栗旬演じる北条義時。源頼朝を支えていた人物のひとりであり、のちの鎌倉幕府の中心的存となる。物語は『平家物語』と同じく、平安時代末期からスタートしている。つまり、『平家物語』と『鎌倉殿の13人』を観ることで平家側と源氏側両方から、この時代を考察することができるのだ。

『平家物語』のそこはかとないものがなしさ

 平家と言えば平清盛だが、主人公となるのは琵琶法師の少女・びわだ。彼女は平家が辿る末路を見て知っている。最初は平家に対して良い印象を持っていなかったびわだが、その中で、心を通わせていく人物もいる。平清盛の長男・平重盛は真面目で人柄も良い。重盛のもとで暮らすことで重盛の子どもたちとも親しくなっていく。

 びわ自体は架空の人物であるので、物語(歴史)の本筋とは関係ないと言えるのかもしれない。未来を知っている分、視聴者との目線は近い。だが、未来を知りながら、滅びゆく人たちと過ごすことの悲しさを思うと胸が痛む。

 また、びわは重盛の異母妹である徳子をとても慕っている。しかし、びわは徳子がうず潮に飲み込まれていく未来を見てしまう。徳子は明るく、聡明な素敵な女性だが、それゆえに政の道具として扱われてしまう。徳子の運命を知っていながらも、幸せになってほしいと思ってしまうが、実際に、徳子の人生は波乱万丈なものとなる。

 そんな優しい人たちとびわの心の交流を描く一方で、平清盛の姿はグロテスクだ。柔らかなタッチで描かれる作品であるからだろうか。余計にその傲慢さが際立つ。おごり高ぶり、自分が神になったかのようなふるまい。そして人が離れていく。これでは平家の没落は仕方がない、と思わせられる。

 ひたひたと近づいてくる最期のとき。びわも、視聴者もそれが分かっているから、どうしてももの悲しさを感じずにはいられない。

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