菊池風磨が過去一番の輝き 『ファイトソング』に願う“王道恋愛ドラマ”への展開
いずれにせよメインカップルの恋の終焉を描くエピソードとあれば、過去一に慎吾が輝きを増す。花枝の父親を探しに行った帰りのラーメン屋のシーンで、「自分のこと不幸だなんて思ってないから」と自分の置かれてきた境遇を受け入れ、その結果導かれた出会いに感謝する。それは前述した芦田の“抗おうとする姿”とは正反対のように思えるが、見方を変えればその境遇のなかで巡ってきた出会いを大切にしようとする点は両者とも共通している。そんな芦田の家を訪ね、納得のいかない思いをひたすらぶつけていく慎吾。「背中を押しに来たわけじゃないから」と言いながらも、その言葉の裏には花枝のために芦田を突き動かしたいという気持ちも見え隠れし、それ以外の慎吾の所作ひとつひとつに迷いがはっきりと見える。
そして別れのシーンで花枝が芦田に告げた「どこかで、聴けるのを楽しみにしています」のことば。「どこかで」の後に少し間が空いたことで、つづく「聴ける」という言葉に自然とふたつの意味が与えられる。言うまでもなく、取り組みを経た芦田の曲が完成することと、その時でも変わらず自分の耳が聞こえるままでいてほしいということだ。一気に花枝の入院から手術、芦田の曲の完成と描かれ、次回は一気に2年先へと物語が遷移する。こう来たからには終盤では王道の恋愛ドラマのルートを辿ってほしいと、ついつい思ってしまう。
■放送情報
火曜ドラマ『ファイトソング』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:清原果耶、間宮祥太朗、菊池風磨、東啓介、藤原さくら、若林時英、窪塚愛流、莉子栗山千明、石田ひかり、橋本じゅん、戸次重幸、 稲森いずみ
脚本:岡田惠和
演出:岡本伸吾、石井康晴、村尾嘉昭
プロデューサー:武田梓、岩崎愛奈
音楽:大間々昂
主題歌:Perfume 「Flow」 (UNIVERSAL MUSIC)
編成:宮崎真佐子、中西真央
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/fight_song_tbs2022/
公式Twitter:@fightsong_tbs
公式Instagram:fightsong_tbs