本当の“中国アニメの驚異”ついに到来? 驚き、泣けまくる冬アニメ『時光代理人』
しかし『時光代理人』の魅力は何より物語面の充実だろう。これまで1、2話単位で完結する話ばかりだが、いずれも日本人も自然とグッときて泣けるようなヒューマンドラマがメイン。その内容も百合テイストのもの(第2話)やアクションシーンでも魅せるもの(第6話)などバラエティに富んでいる。連作としての面白さもあり、ハッピーエンドを迎えることがあれば、バッドエンドで終わることもあり、毎回先が読めずスリルも味わえる。
また中国における風土的、時事的な要素を感じられるのも独特なテイストだ。例えば、先述した『羅小黒戦記』でも見られたが、田舎と都会の対比だ。田舎から都会に出てきた人間の苦労といった描写は何度もあり、彼の地でのそうした社会構造に思いを馳せられる。ほかにもセクハラやパワハラといった社会問題を扱った第1話から始まり、その後も2008年に起きた四川大地震や中国でのタピオカブームなど日本のアニメを中心に観ている人にとっては目新しい要素が物語に盛り込まれ、新鮮な驚きを与えてくれる。
『時光代理人』はすでに世界中で観られており、月間1800万人以上が利用する世界最大級のアニメ・マンガデータベースのMyAnimeListでは、ユーザーによる平均評点が8.83と高得点をマークしている。これは19,000以上ある登録アニメ作品において25位とトップクラスの評価であり、日本アニメでいうと『君の名は。』や『進撃の巨人 The Final Season』、『MONSTER』などと肩を並べるスコア。中国産のアニメでは歴代1位だ(すべて2022年2月25日時点の数字※)。
『鬼滅の刃』や『進撃の巨人』、『ジョジョの奇妙な冒険』など人気シリーズの最新作が放送されている今期でも、決して見劣りしない……どころか独特な面白さで見事な存在感を見せている『時光代理人』。中国では2期も発表されているほどの人気作ではあるが、日本でもさらに注目を浴び、中国アニメの今の到達点が正しく認識されてほしいところだ。
参照
※https://myanimelist.net/anime/44074/Shiguang_Dailiren
■放送情報
『時光代理人 -LINK CLICK-』
TOKYO-MXにて、毎週日曜21:30~放送
BS11にて、毎週日曜22:30~放送
監督・脚本:李豪凌/リー・ハオリン
キャラクターデザイン原案:INPLICK
キャラクターデザイン:LAN、 黄思萌/ホワン・スーモン、 熊丹/ション・ダン
演出・総作画監督:LAN
美術監督:丹治匠、 朝見知弥
撮影監督:山条裕香
音楽:天門、 yuma yamaguchi、 av4ln
アニメーション制作:瀾映画
日本版製作:株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ、株式会社アニプレックス
日本語吹替版キャスト:
トキ/程小時(チョン・シャオシー) :豊永利行
ヒカル/陸光(ルー・グアン):櫻井孝宏
リン/喬苓(チャオ・リン):古賀葵
(c) bilibili/BeDream
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